明日、お客様を訪問する。
目的は、進行中プロジェクトの検収をいただけるよう、改めて調整をお願いするためである。
正直、休日の今から少し憂鬱だ。
今回のプロジェクトだけを見れば、検収条件はすべてクリアしている。
だから契約や条件だけで考えれば、
「検収していただけるはずです」
と言える。
しかし、現実の仕事はそんなに単純ではない。
問題は、今回のプロジェクトだけではない
過去に、こちらが提供した製品で品質問題があった。
これは、完全にこちらの責任である。
お客様には大きな迷惑をかけた。
信頼関係も大きく損なった。
この部分については、言い訳の余地はない。
謝罪するしかない。
問題は、そのときの不信感や遺恨が、現在進行中の別プロジェクトにまで影響していることである。
今回のプロジェクト自体は、求められた条件を満たしている。
それでも、
「この会社は信用できない」
という感情が残っているため、検収を簡単には受けてもらえない。
契約上の話と、感情の話が混ざってしまっている。
ここが非常に難しい。
法的に争えば、おそらくこちらが有利
もし、この話を完全に契約論だけで整理するなら、こちらにも主張できる材料はある。
検収条件は満たしている。
必要な作業も終えている。
法的な観点だけで交渉すれば、こちらが有利になる可能性は高い。
でも、それで本当に「勝ち」なのだろうか。
仮に法的に勝ったとしても、
お客様との関係は壊れる。
今後の仕事も難しくなる。
何かあるたびに、
「あの会社とは揉めた」
という記憶が残る。
だったら、それは仕事としては負けに近い。
最近、そんなことを強く感じる。
正しいことを言えば、前に進むわけではない
ビジネスでは、
「こちらが正しい」
ことと、
「相手が納得する」
ことは別である。
契約上正しくても、
相手の感情が収まっていなければ前には進まない。
逆に、相手の感情だけを優先し続ければ、こちらが際限なく譲歩することになる。
だから難しい。
謝るべきことは、きちんと謝る。
こちらに責任があることは認める。
でも、今回のプロジェクトまで過去の問題と一緒に扱われている状況は、少しずつ整理していかなければならない。
この線引きが本当に難しい。
明日は「勝ちに行く」わけではない
だから、明日の訪問で意識したいことがある。
相手を言い負かすことではない。
契約条件を突きつけることでもない。
もちろん、
「検収してください」
というお願いはする。
でも、それ以上に、
「過去の品質問題への責任」と「今回のプロジェクトの評価」を、少しずつ分けて考えてもらうこと。
そこが重要なのだと思う。
過去については、改めて謝罪する。
その上で、
今回のプロジェクトについては、
「条件は満たしているので、そこは別の話として判断していただけないか」
と丁寧に伝える。
おそらく、それしかない。
感情に正論をぶつけても、感情は消えない
人は、理屈だけで動くわけではない。
特に、過去に大きな迷惑をかけられた経験があれば、
「もう信用できない」
と思うのは自然である。
だから、
「契約上は問題ありません」
と正論をぶつけても、
「だから何だ」
となる。
むしろ、
「こちらの気持ちを分かっていない」
と思われる可能性すらある。
つまり、
感情の問題には、まず感情として向き合う必要がある。
謝る。
話を聞く。
不信感が残っていることを受け止める。
その上で、ようやく事実や条件の話に入れる。
これは簡単そうで、かなり難しい。
管理職になると、こういう仕事が増える
正直に言えば、
こういう調整はあまり好きではない。
白黒つかない。
正解もない。
技術的な問題なら、
原因を調べて直せばよい。
でも、人の感情はそうはいかない。
過去の記憶。
プライド。
組織同士の関係。
社内事情。
いろいろなものが絡む。
それでも、管理する立場になると、
こうした問題から逃げるわけにはいかない。
現場だけでは解決できないから、自分が前に出る。
その役割なのだと思う。
憂鬱でも、行くしかない
休日の今から、
「明日はどうなるだろう」
と考えてしまう。
厳しいことを言われるかもしれない。
検収を断られるかもしれない。
話がまったく進まないかもしれない。
考え始めると、いくらでも悪い想像はできる。
でも、以前のトラブル対応でも感じた。
悶々と考えている時間より、
実際に会って、
話して、
相手の反応を見て、
次に何をするかを決めたほうが、気持ちは整理される。
だから、明日もまず行く。
逃げずに話す。
それしかない。
仕事の「勝ち」は、相手に勝つことではない
今回、改めて思う。
ビジネスの交渉は、
相手に勝てばいいわけではない。
法的に勝つ。
論理で勝つ。
契約上勝つ。
それだけでは足りない。
本当に大切なのは、
問題を解決し、関係を壊さず、次へ進める状態を作ること。
それができれば、一番いい。
もちろん、いつもそんな綺麗に終わるとは限らない。
それでも、
明日はまず謝るべきことをきちんと謝る。
そして、
過去の問題と今回のプロジェクトは分けて考えていただきたいと、丁寧にお願いする。
正論で勝つのではなく、
仕事として前に進める。
明日は、そこを目指したいと思う。


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