最近、自分の企業診断を振り返っていて、かなり大事なことに気づいた。
自分は、企業の魅力を見つけるのは得意になってきた。
例えば、
- 葛餅の「江戸×寺×発酵」というストーリー
- おしぼりを「おもてなし」に変える発想
- 印刷を「思想の表現」に変える視点
- 万年筆を「知的な空間価値」に広げる着眼点
こういうものは、以前より見えるようになってきた。
これは成長だと思う。
でも、同時に弱点も見えてきた。
自分の戦略は、少し“夢”がある
悪い意味だけではない。
中小企業の強みを見つけて、
「こうすればもっと価値が出る」
と考えるのは大事だ。
むしろ、ここがないと戦略はつまらない。
ただし、問題はその先。
その夢が、
現場で回るのか
ここまで見ないといけない。
一番足りなかったのは「供給制約」
最近、特に感じるのがこれだ。
需要を増やすことばかり考えていた。
でも、会社には必ず制約がある。
- 職人が少ない
- 発酵に時間がかかる
- 設備が限られている
- 物流負荷が重い
- 人の目で確認しないと品質が保てない
こういう制約を見ないまま、
「もっと売りましょう」
と言うのは危ない。
売れすぎると、会社が壊れる
例えば、山信食産の葛餅。
2年発酵。
職人技。
品質確認。
こういう商品は、簡単に増産できない。
そこで需要だけ増やすとどうなるか。
- 品質が落ちる
- 現場が疲弊する
- 納期が乱れる
- 利益が減る
つまり、売上は増えても、会社は苦しくなる。
FSXのおしぼりも同じ
おしぼりも、簡単ではない。
高付加価値商品を増やすと、
- 洗浄
- 配送
- 回収
- 品質確認
- 在庫管理
が複雑になる。
つまり、用途開発は良いが、SKUが増えると現場は重くなる。
この運用負荷を見ないと、戦略は危うい。
「用途開発」は、広げればいいわけではない
自分はよく、
- 高級旅館向け
- 介護向け
- インバウンド向け
- 法人向け
- 自治体向け
と広げて考えがちだった。
でも、中小企業でこれをやると危ない。
なぜか。
人も設備も足りないからだ。
結局、
どこで戦わないか
を決める方が大事になる。
戦略は「選ぶ」より「捨てる」
良さそうな市場はたくさんある。
でも、全部はできない。
だから本当に必要なのは、
「どこを攻めるか」だけではなく、「どこをやらないか」を決めること。
ターゲットは「業種」ではなく「シーン」で決める
これも大事な気づきだった。
「高級旅館向け」
と書くと、まだ広い。
本当はもっと絞る。
例えば、
宿泊体験の最後に出す、記憶に残る和スイーツ
ここまで書く。
すると、売る相手も、商品設計も、価格も見えてくる。
おしぼりも同じ
「ホテル向けおしぼり」では弱い。
もっと具体化する。
例えば、
VIP到着時に出す、香りで第一印象を作るおしぼり
こう書くと、用途が明確になる。
価格も上げやすい。
現場も作りやすい。
ブランドは認知ではなく想起
もう一つ大事なのがブランド。
以前は、ブランド力を高めると書いていた。
でも、これは少し曖昧だ。
本当に見るべきは、
想起されるか
だと思う。
- 環境印刷なら大川印刷
- 高級おしぼりならFSX
- ハート型葛餅なら山信食産
こう思い出される状態。
これがブランドだ。
だからKPIも変わる
ブランド強化のKPIを、
「認知度」
だけにすると弱い。
本当に見たいのは、
- 指名問い合わせ数
- 用途名での検索数
- 紹介経由の相談数
- 特定シーンでの採用数
こういう数字だ。
つまり、
「〇〇ならこの会社」と思われているか
を見る。
高付加価値には、標準化が必要
ここも大事。
高付加価値というと、カスタム対応になりやすい。
でも、全部カスタムにすると現場が壊れる。
だから必要なのは、
カスタムできる範囲を決めること。
自由にしすぎない
例えば、ギフト商品。
完全自由のオーダーにすると、デザインも製造も大変になる。
でも、
- 形は3種類
- パッケージは5種類
- メッセージは定型文から選ぶ
こうすれば、特別感を出しつつ、現場も回る。
これが大事。
「夢」と「運用」の両方が必要
結局、戦略はこの2つだと思う。
一つは、夢。
その会社の可能性を広げること。
もう一つは、運用。
実際に現場で回る形にすること。
夢だけだと絵空事になる。
運用だけだとつまらない。
両方必要だ。
今後、自分が意識すべきこと
これから企業診断をするときは、次の順番で考えたい。
- 強みを見る
- その強みが最も高く売れるシーンを探す
- 供給制約を見る
- 現場で回る型に落とす
この順番だ。
最後に
自分の分析は、以前より良くなってきた。
企業の世界観や価値は見えるようになった。
でも、それだけでは足りない。
次に必要なのは、
冷徹な現実感
だと思う。
どれだけ良い戦略でも、現場が回らなければ意味がない。
売れすぎて苦しくなる戦略もある。
だからこそ、
夢のある戦略に、運用効率というリアリティを足す。
ここができたとき、本当に経営者が動きたくなる戦略になるのだと思う。

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