企業の未来を描く力はついた。次の課題は「飛ばない戦略」と「動かせるKPI」

成長・マインド

企業分析を続けていると、企業のことだけではなく、自分自身の思考の癖もよく見えるようになる。

最近分析したのは、友成工芸とライフワークス。

一方はアクリル加工会社。

もう一方はキリスト教専門の葬儀会社。

業種はまったく違う。

しかし、分析をしてみると、どちらにも共通する成長のポイントがあった。

それは、

「今ある商品を売る」のではなく、「その会社ならではの新しい価値をつくる」

ということだった。

そして同時に、自分の分析にも新しい課題が見えてきた。

「何を売っている会社か」ではなく、「何の価値を生む会社か」

友成工芸は、表面的にはアクリル加工会社である。

しかし、単にアクリルを切り、磨き、加工しているだけではない。

アクリル升。

トロフィー。

高級店舗のディスプレイ。

同じ加工技術を、異なる用途へ変換し続けている。

つまり、本当の強みは、

「アクリル加工技術」

だけではない。

「アクリルの新しい用途を見つけ、商品として形にする力」

にある。

ライフワークスも同じだった。

表面的には葬儀会社である。

しかし、同社は人が亡くなってから顧客と出会うのではなく、終活セミナーを通じて、生前から関係を築いている。

つまり、

「葬儀を行う会社」

ではなく、

「人生の終わりを考えることで、今をどう生きるかを支える会社」

と考えた方が、本質に近い。

最近は、こうした企業の存在価値を一段抽象化して捉えることが、自分の強みになってきたように思う。

「構造の変遷」も、自分の型になってきた

もう一つ定着してきたのが、

構造の変遷

という見方である。

例えば友成工芸なら、

下請け・受託加工

自社商品・用途提案

へ。

ライフワークスなら、

死後の一度きりの接点

生前からの継続的な関係

へ。

単に売上が伸びたという話ではない。

どこを変えたことで、利益が生まれる構造に変わったのか

を見る。

商品。

顧客。

チャネル。

接点。

利益構造。

こうしたビフォー・アフターを並べると、企業の転換点が見えやすい。

ここは、かなり自分なりの分析の型になってきたと思う。

供給制約を見る癖もついてきた

以前は、戦略を考えると、

「どう売上を増やすか」

に目が行きがちだった。

最近は、その前に、

「本当に作れるのか」

を見るようになった。

友成工芸なら、従業員5人。

熟練者しかできない研磨工程もある。

需要が急に増えても、簡単には生産量を増やせない。

ライフワークスも、社長自身のセミナー運営力や、故人に寄り添った個別対応に依存する部分が大きい。

つまり、需要を増やせば成長するとは限らない。

むしろ、

需要が増える

現場がパンクする

品質が下がる

ブランドが壊れる

ということもあり得る。

だからこそ、

標準化。

外注化。

若手育成。

セミオーダー化。

など、供給側の仕組みも戦略に入れる必要がある。

この視点は、自分の分析の中でかなり重要になってきた。

データは「持っているだけ」では強みにならない

最近は、データを競争優位の源泉として考えることも増えた。

例えば友成工芸なら、

案件データ。

用途。

色。

形状。

顧客の評価。

失注理由。

こうした情報を蓄積すれば、次にどの用途を狙うべきかが見えてくる。

ライフワークスなら、

人生観。

価値観。

家族構成。

悩み。

最期にどうありたいか。

といった情報を蓄積できる。

これは非常に強い無形資産になる。

ただし、データは持っているだけでは意味がない。

重要なのは、

データ → パターン化 → 提案 → 利益

までつなげることである。

例えば、

似た価値観を持つ会員を検索する。

過去の葬儀事例を参照する。

AIが複数のプラン候補を提示する。

最後は人が顧客と対話しながら調整する。

このように、

半分デジタル、半分人

くらいの形に落とし込めば、オリジナル性と生産性を両立しやすい。

「AIを使う」で終わらず、

何を学習させ、

何をAIに任せ、

何を人間に残すのか。

そこまで描く必要がある。

ただし、未来を描くと私は飛びやすい

一方で、自分の弱点もはっきりしている。

長期戦略になると、話を大きくしすぎる。

友成工芸なら、

「空間設計プロデューサーへ」

ライフワークスなら、

「セカンドキャリア支援へ」

といった具合である。

発想としては面白い。

しかし、現在の強みとのつながりが弱ければ、単なる思いつきになる。

ここは最近かなり意識するようになった。

重要なのは、

現在 → 次の一歩 → その次 → 長期像

という橋を描くことである。

例えば友成工芸なら、

アクリル製品

高級ディスプレイ

デザイン会社との共同提案

アクリルを使った空間演出で指名される会社

くらいが自然だろう。

いきなり空間設計会社になる必要はない。

ライフワークスなら、

終活セミナー

人生後半の相談サービス

介護・相続など隣接領域との連携

人生後半のライフデザイン支援

と進んだ方が、今ある会員基盤や信頼関係を生かせる。

長期戦略は、大きければ良いのではない。

今の強みの延長線上にあるか

が重要なのだと思う。

勝ち筋は、一言で言えなければ弱い

もう一つの癖がある。

私は勝ち筋にいろいろ入れたくなる。

技術。

ブランド。

LTV。

データ。

標準化。

法人展開。

海外。

全部大切に見える。

しかし、全部を書けば、結局何で勝つ会社なのかが分からなくなる。

だから最近は、

「この会社は○○の会社である」

と一言で言えるかを意識している。

友成工芸なら、

「アクリルの新しい用途を生み出す会社」

ライフワークスなら、

「生前から人生の最終章に寄り添う会社」

まず、この主語を決める。

他の強みは、その主戦略を支える要素として置く。

この方が、戦略全体がぶれにくい。

KPIも「立派な言葉」より「明日動かせる数字」

KPIについても、まだ改善の余地がある。

例えば、

活用率。

参画率。

定着率。

こうした比率は便利である。

しかし、現場からすると、

「では、今日は何をすればいいのか」

が分からないことがある。

だから、さらに一段下げる。

例えば、

「用途DB活用率」

ではなく、

「案件登録完了率95%」

「顧客の利用用途入力件数」

「レビューから抽出した新用途アイデア数」

とする。

「企画参画率」

だけではなく、

「初期提案件数」

「企画前相談件数」

まで落とす。

現場が自分の意思で動かせる数字にする。

これが重要である。

KPIは、経営者が見るためだけの数字ではない。

現場が行動を変えるための数字

でなければ意味がない。

無形資産も「厚み」を測る

今回、特に面白いと思ったのが、

無形資産の充足率

という考え方である。

例えば、ライフストーリーDBが強みになるとしても、

名前と年齢だけ入っているDBでは意味がない。

価値観。

家族構成。

仕事。

大切にしてきたこと。

最期の希望。

宗教観。

こうした情報がどこまで埋まっているのか。

友成工芸でも同じだ。

用途。

素材。

色。

発注理由。

使用場所。

顧客評価。

利益率。

ここまで情報が揃って初めて、次の商品開発に使える。

だから、

「DBがあるか」

ではなく、

「使える情報がどこまで埋まっているか」

をKPIにした方がよい。

情報資産を競争力にする企業ほど、これは重要だと思う。

ターゲットも「業種」では粗すぎる

ターゲット設定にも改善余地がある。

例えば、

「法人向け」

「高級ホテル向け」

ではまだ粗い。

友成工芸なら、

「透明感や光の表現を重視する高級店舗」

のように、求めている価値まで入れる。

ライフワークスなら、

「人生の最終章を自分らしく準備したい人」

のように、悩みやシーンで定義する。

業種で切るより、

何に困っているか

どのような価値を求めているか

で切った方が、自社の強みとつながりやすい。

これは今後、もっと意識したい。

次の課題は「地続きの未来」を描くこと

今の自分は、企業の可能性を見つけることは比較的得意になってきた。

本質的な価値を見つける。

利益構造の変化を整理する。

ボトルネックを見る。

データを資産として考える。

ここまでは、かなり形になってきた。

ただし、次の壁は、

未来を描くだけではなく、その未来までの道を描くこと

である。

今ある強みから、

何を一段深くするのか。

どの隣接市場へ進むのか。

どの資産を蓄積するのか。

どのKPIを動かすのか。

誰が何を入力するのか。

AIと人をどう分担するのか。

そこまで描いて、初めて戦略は実行可能になる。

まとめ

企業分析を続ける中で、自分の強みは少しずつ見えてきた。

企業の本質的価値を言語化する。

構造の転換点を見つける。

供給制約を特定する。

データを競争優位につなげる。

一方で、まだ課題もある。

未来を大きく描きすぎない。

勝ち筋を一言に絞る。

現在から未来までの橋を作る。

KPIを現場が動かせる数字まで落とす。

無形資産の「量」ではなく「厚み」を測る。

AI活用も、人との役割分担まで描く。

企業の未来を描くことは、以前よりできるようになった。

次に必要なのは、

「その未来へ、本当にこの会社が歩いていけるのか」を説明できること

なのだと思う。

派手な戦略より、地続きの戦略。

立派なKPIより、明日動かせるKPI。

そこまで落とし込めて初めて、経営者が実行を決断できる提案になるのだと思う。

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