企業分析で見えた、自分の強みと次の壁

成長・マインド

毎日のように企業を分析している。

企業の歴史を調べる。

強みを考える。

課題を探す。

勝ち筋を描く。

そして、短期・中期・長期の戦略やKPIツリーに落とし込む。

次の壁も見えてきた。

今回は、現在の自分の強みと弱みを整理してみたい。

企業の「すごさ」を、構造として見られるようになった

今回、最も高く評価されたのが、

企業の本質的な価値と、構造の変化を見抜く力

だった。

例えば、山本海苔店。

一見すると、1849年創業の有名な老舗海苔店である。

長い歴史がある。

ブランド力がある。

高品質な海苔を扱っている。

以前の私なら、強みをそのようにまとめていたかもしれない。

しかし、今回注目したのは、約50種類もの用途に合わせて海苔を仕分ける技術だった。

ラーメンに合う海苔。

贈答用に適した海苔。

濃厚な料理に合う海苔。

淡白な料理に合う海苔。

同じ海苔でも、用途によって求められる香り、食感、口溶けは違う。

山本海苔店の本当の強みは、

「おいしい海苔を持っていること」

だけではない。

料理や利用場面に応じて、最適な海苔を見極められること

にある。

商品の表面を見るのではなく、その会社が顧客に提供している本質的な価値まで掘り下げられるようになった。

これは、自分の分析力が一段上がった部分だと思う。

「何をしている会社か」ではなく、「なぜ利益が変わったか」を見る

渡辺金属工業の分析でも、評価されたのは構造の変遷だった。

同社が作っているのは、トタン製のバケツである。

ただし、単なる水くみ用バケツではない。

ライスストッカー。

おむつ消臭ペール。

野菜ストッカー。

足湯用。

猫用品。

同じ製造技術に新しい用途を組み合わせることで、汎用品を高付加価値商品に変えている。

この変化を、私は次のように整理した。

チャネルは、

「メーカーの下請け」から「自社ブランドの直販」へ。

商品は、

「代替可能な汎用品」から「用途で差別化された自社商品」へ。

つまり、単に新商品が売れたのではない。

自社で価値を定義し、自社で価格を決められる構造へ変わったのである。

企業分析では、つい、

「この会社は面白い商品を作っている」

「この技術がすごい」

という感想で終わりがちだ。

しかし、本当に見るべきなのは、

その強みによって、誰との取引が変わり、価格決定権がどう変わり、利益構造がどう変化したか

である。

この「構造の変遷」を整理する力については、95点という評価を受けた。

今の自分にとって、最も大きな武器になっているようだ。

戦略とKPIをつなげる力も上がってきた

以前は、戦略とKPIを別々に考えていたように思う。

戦略には、

「ブランド力を高める」

「新規顧客を増やす」

「海外展開する」

と書く。

KPIには、

売上高、粗利率、顧客満足度、LTVを書く。

言葉としては正しい。

しかし、両者のつながりは弱かった。

最近は、戦略を実行するために、何を計測すべきかを意識するようになった。

例えば、山本海苔店であれば、用途別商品を増やすだけではない。

どの用途の商品が高収益なのか。

どの用途が継続購入につながるのか。

熟練者の仕分け技術を、どこまでデータ化できているのか。

こうした戦略に対して、

用途別高単価商品の売上比率。

用途データベースの活用率。

熟練者以外でも判定できる工程比率。

といったKPIを紐付ける。

渡辺金属工業であれば、

レビューから抽出した用途アイデア数。

用途別の試作品数。

テスト販売から本販売へ移行した商品比率。

といった指標が考えられる。

戦略を美しい文章で終わらせず、

実行されているかを確認する数字へ落とす

という意識が、少しずつ定着してきた。

ボトルネックを見る視点も変わった

製造業の課題を考えると、すぐに人手不足や生産能力を思い浮かべる。

しかし、成長を止めている原因は、必ずしも工場にあるとは限らない。

山本海苔店では、熟練者による仕分け技術が供給制約になる可能性がある。

需要が増えても、用途に合わせて海苔を判別できる人が限られていれば、販売を拡大できない。

一方、渡辺金属工業の場合、工場の生産能力よりも、

「次のヒット用途を見つける企画力」

がボトルネックになる可能性がある。

製造できるかどうかではない。

顧客の声から、新しい用途を発見できるか。

試作品を作り、市場の反応を確認し、商品として育てられるか。

つまり、企業の成長を止める制約は、

人。

設備。

時間。

企画。

ブランド。

販路。

など、企業によって異なる。

最近は、単に課題を並べるのではなく、

今、この会社の成長速度を最も遅くしているものは何か

と考えられるようになった。

この視点も、以前には十分持てていなかったと思う。

ただし、長期戦略になると飛びすぎる

一方、今回の評価で最も大きな課題として指摘されたのが、長期戦略における論理の飛躍だった。

私は長期戦略を考える時、つい現在の事業とは少し離れた、大きな構想を描きたくなる。

渡辺金属工業では、バケツメーカーから空間設計の提案へ進む戦略を考えた。

ホテルやバー、飲食店などに対して、商品単体ではなく、空間全体から提案するという考えである。

発想としては面白い。

ただし、同社の現在の強みは、

トタン加工技術。

用途発見力。

自社ブランドの商品開発力。

である。

空間設計の能力を持っているという事実は確認できない。

そのため、

「空間設計会社になる」

まで進めてしまうと、現在の強みから一段、あるいは二段飛んでしまう。

より自然なのは、

「空間設計を行う会社になる」

ではなく、

「空間設計の中で、指名される商品ブランドになる」

という方向だろう。

ホテルや店舗の設計会社と連携し、その空間に合うトタン製品を企画する。

自社が設計全体を担うのではなく、自社の得意領域で選ばれる。

この方が、現在の資産の延長線上にある。

私は、長期になるほど夢を大きく描きすぎる傾向がある。

今後は、

「それは強みの深化なのか」

「単なる別事業への進出なのか」

を、より厳しく見極める必要がある。

市場があることと、強みがあることは違う

海外展開についても、同じ注意が必要である。

海外で日本食市場が伸びている。

インバウンド需要がある。

日本の生活雑貨が評価されている。

これらは、すべて市場機会である。

しかし、市場があること自体は、その企業の強みではない。

山本海苔店の強みは、

「海外市場があること」

ではない。

海外の料理や味付けに合わせて、適した海苔を見極められること

である。

渡辺金属工業の強みも、

「海外で日本製品が人気であること」

ではない。

現地の生活様式や収納ニーズに合わせて、トタン製品の用途を開発できること

である。

市場機会と自社の能力を混ぜると、戦略が急に弱くなる。

市場が魅力的であっても、自社が勝てる理由がなければ、単なる願望になってしまう

今後は、

市場機会。

自社の強み。

顧客が選ぶ理由。

この三つを、明確に分けて整理したい。

KPIに一般用語が残っている

KPIについても、まだ改善の余地がある。

私はこれまで、粗利率、LTV、顧客満足度、リピート率といった一般的な言葉を多く使ってきた。

これらは重要な経営指標であり、間違いではない。

ただし、それだけでは、その会社の戦略は見えてこない。

例えば、「顧客満足度を上げる」と書いても、現場は何をすればよいのか分からない。

山本海苔店であれば、

用途別商品の継続購入率。

飲食店での用途別海苔の採用継続率。

料理別の試食評価。

用途提案からの受注率。

といった言葉の方が、その会社らしい。

渡辺金属工業であれば、

用途別シリーズの関連購入率。

顧客レビューから抽出した商品アイデア数。

試作品のモニター参加者数。

テスト販売商品の本商品化率。

などが考えられる。

良いKPIとは、経営管理の教科書に書いてある言葉を並べることではない。

その会社の勝ち方が、そのまま数字になっていること

なのだと思う。

今後は、KPIツリーを見た瞬間に、

「これは山本海苔店のものだ」

「これは渡辺金属工業のものだ」

と分かるレベルまで、会社固有の言葉に置き換えたい。

AI活用も、仕組みまで書かなければ意味がない

最近の分析では、AIやデータ活用を戦略に入れることも増えた。

ただし、

「AIを活用して効率化する」

だけでは、ほとんど何も言っていないのと同じである。

山本海苔店で考えるなら、必要なのは具体的な流れだ。

まず、海苔の画像を蓄積する。

色、艶、穴の大きさ、形状、厚みなどを記録する。

その画像に対して、熟練者がどの用途に適していると判断したかを紐付ける。

ラーメン向け。

贈答用。

お茶漬け向け。

ホテルの朝食向け。

こうしたデータを蓄積し、AIが一次判定を支援する。

ただし、香り、口溶け、食感など、画像だけでは判断できない部分は熟練者が確認する。

ここまで書けば、

何をデータとして集めるのか。

AIは何を判断するのか。

人はどこに残るのか。

が明確になる。

AI導入とは、魔法の箱を置くことではない。

熟練者の判断を、どのデータから、どの工程まで再現するのかを設計すること

である。

この具体性が、提案を机上の空論から実行可能なものへ変える。

次の課題は「派手さ」より「地に足のついた発展」

現在の自分は、企業のストーリーを構造として読み解く力は、かなり身についてきたように思う。

なぜこの企業が選ばれているのか。

どのように利益構造を変えたのか。

どこが成長のボトルネックなのか。

ここまでは、一定の精度で考えられるようになった。

次に必要なのは、派手なアイデアではない。

現在の強みから無理なくつながる戦略。

現場が操作できるKPI。

学習データと処理の流れまで踏み込んだ仕組み。

事実と仮説を分けて書く慎重さ。

そうした、冷徹なまでの具体性である。

その構想を、本当にその会社が実行できるのか

まで考えなければならない。

次の入口

企業分析を繰り返してきたことが、無駄ではなかったと思える。

一方で、評価が上がるほど、簡単には直せない課題が残る。

構造を整理できるだけでは足りない。

強みを見つけるだけでも足りない。

その強みを、どの市場で、どのような仕組みによって、どの数字を動かしながら成長させるのか。

そこまで一つのストーリーとして描く必要がある。

まだ、経営者がそのまま実行を決断できる「処方箋」にはなっていない。

しかし、以前よりは確実に近づいている。

これから意識したいのは、次の問いである。

その長期戦略は、今の強みの延長線上にあるか。

そのKPIを、現場は明日から動かせるか。

AI活用の学習データと処理工程は説明できるか。

市場があるという話と、自社が勝てるという話を混同していないか。

そして、

この会社の成長を、本当に止めているものは何か。

この問いを繰り返しながら、もう一段、分析の精度を上げていきたい。

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