古い素材は終わりではない|日興エボナイト製作所が高級万年筆で再生した理由

勝手に企業診断

エボナイト。

たぶん、ほとんどの人は知らない。

昔は、

  • ボウリング玉
  • やかんの取っ手
  • 自動車部品

などに使われていた素材だ。

でも今は、ほとんど見ない。

なぜか。

プラスチックに負けたからだ。


「古い素材」は消える

普通はそう思う。

実際、多くの会社が消えた。

そんな中、国内で唯一、エボナイトを作り続けている会社がある。

日興エボナイト製作所。

1952年創業。

従業員15人の小さな会社だ。


一度、本当に追い込まれている

昔は、完全な下請けだった。

エボナイトは、自動車部品などで需要があった。

しかし、プラスチックが台頭する。

主力顧客が撤退。

売上が激減した。


「注文が減ったから増やしてくれ」は通用しない

社長が別の取引先に頼みに行った。

でも、こう言われる。

「新しい提案を持ってくるのが先でしょう」

かなり厳しい。

でも、本質だと思う。


下請け根性に気づいた

ここが重要だった。

今までは、

「言われたものを作る」

だけだった。

だから仕事がなくなった瞬間、何をしていいかわからない。

これは、多くの中小企業に刺さる話だと思う。


古い素材に、新しい価値を与える

この会社は、そこから変わる。

  • ステッキ
  • ハンコ
  • ギターのピック

いろいろ試す。

でも、簡単には売れない。

さらにリーマンショック。

売上は3分の1まで落ちる。

かなり厳しい状況だった。


「足で稼ぐ」と決めた

社長は腹を括る。

行動量を増やした。

昔は、5年間で20枚しか名刺交換しなかった。

それが、

年間1000枚

になった。

これは、かなり象徴的だ。


面白いのは「マーブル模様」

この会社は、エボナイトに独特な模様を作れる。

マーブル模様だ。

しかも、配合や混ぜ方は企業秘密。

磨きも職人技。

ここに、大きな価値があった。


高級万年筆という答え

そして、高級万年筆を開発する。

これが面白い。

昔のエボナイト用途とは、完全に違う。

しかも、価格は6万円。

普通に考えると高い。

でも、展示会で売れた。


「古い素材」が高級品になる

ここが本当に面白い。

昔は、工業素材だった。

でも今は違う。

  • 軽い
  • 手に馴染む
  • 疲れにくい
  • 色合いが美しい

こうした感覚価値で売れている。

つまり、

機能ではなく、体験で売れるようになった。


この会社の本当の強み

一見すると、

国内唯一のエボナイトメーカー

が強みに見える。

もちろん、それも大きい。

でも、本質はそこだけではない。

本当に強いのは、

古い素材を再定義したこと。


素材メーカーで終わらなかった

普通の素材メーカーなら、材料を卸して終わる。

でも、この会社は違った。

  • 加工
  • 商品開発
  • 自社ブランド
  • 直販

まで行った。

つまり、

素材からブランドへ進化した。


万年筆は、単なる筆記具ではない

万年筆の用途も興味深い。

単なる筆記具ではない。

  • 記念品
  • ギフト
  • 継承記念
  • 自分へのご褒美

こうした用途で売れている。

つまり、

感情価値

が強い商品なのだ。


半年待ちが価値になる

今、万年筆は半年待ち。

普通なら、供給不足は弱みだ。

でも、高級品では違う。

待つこと自体が価値になる。

つまり、希少性がブランドを強くする。


ただし、課題も大きい

もちろん、問題もある。

  • 社長依存
  • 営業の属人化
  • 固定費負担

しかも、15人企業。

簡単ではない。


だから重要なのは「継承」

この会社で本当に重要なのは、技術の継承だけではない。

営業。

商品開発。

ブランドづくり。

これらも人に乗っている。

だから必要なのは、単なるマニュアル化ではなく、

どの価値を残すかの整理

だと思う。


準高級ブランドも面白い

今は、かなり高級路線。

でも、その下の層を狙うのも自然だ。

なぜなら、6万円は高い。

ただ、

「本物を持ちたい」

層はもっと広い。

ここをどう取るかは、今後かなり重要になる。


海外との相性も良い

しかも、海外との相性も良い。

理由はシンプル。

日本の職人文化

と相性が良いからだ。

しかも、マーブル模様は視覚的に強い。

SNSでも伝わりやすい。


この会社から学べること

日興エボナイト製作所の面白さはここだ。

古い素材を守ったのではない。

意味を変えた。

工業素材。

そこから、

感性価値のある高級素材

へ変えた。


最後に

中小企業が生き残るには、新しいものを作るだけでは足りない。

重要なのは、

古いものを、新しい価値で見直せるか

だと思う。

日興エボナイト製作所は、エボナイトを捨てなかった。

でも、そのまま売ったわけでもない。

意味を変えた。

だから、国内唯一の存在になった。

そして今、半年待ちの万年筆を作る会社になった。

これが、中小企業の生き残り方なのだと思う。

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