最近、自分の企業診断を振り返っていて、少し見えてきたことがある。
分析の精度は、以前よりかなり上がってきた。
たとえば、靴メーカーをただの靴メーカーとして見ない。
足元から身体体験を設計する会社
として見る。
金属加工会社を、ただの加工会社として見ない。
曖昧な感覚を形に翻訳する会社
として見る。
こういう再定義は、自分の強みになってきたと思う。
商品ではなく、本質的価値を見る
企業分析で面白いのは、商品そのものではなく、
顧客は本当は何にお金を払っているのか
を考えることだ。
靴なら、革やデザインだけではない。
- 足の痛みが減る
- 歩くのが楽になる
- 仕事が続けやすくなる
つまり、身体体験にお金を払っている。
金属加工なら、部品そのものではない。
図面になっていないアイディアを、短期間で形にしてくれること。
つまり、不確実な開発を前に進める力にお金を払っている。
ここを見抜けるようになってきたのは、かなり大きい。
でも、そこだけではまだ足りない
ただし、最近指摘されて刺さったことがある。
企業の想いや価値を見抜くだけでは、まだ弱い。
それを、
どう儲かる構造に変えるのか
まで落とし込まないと、戦略としては足りない。
ここが次の壁だと思う。
「技術力が高い」では浅い
たとえば、町工場の分析でよく使ってしまう言葉がある。
高い技術力
たしかに間違いではない。
でも、これだけでは弱い。
なぜなら、技術力が高い会社は他にもあるからだ。
本当に見るべきは、
なぜその技術が他社に真似されにくいのか
である。
競争優位は、技術そのものではなく仕組みにある
たとえば極東精機製作所なら、強みは加工精度だけではない。
- 曖昧なアイディアをCGで可視化する
- 試作品を短期間で形にする
- ベンチャー企業の感覚的な要望を、製造可能な形に翻訳する
つまり、強みは単なる技術ではなく、
曖昧さを形にするプロセス
にある。
ここまで言語化して、初めて競争優位になる。
価格決定権を見る
もう一つ大事なのが、価格決定権だ。
利益率を上げる本質は、単に高品質にすることではない。
比較されにくい場所に入ること
だ。
図面通り作るだけなら、他社と比較される。
「いくらでできますか」
となる。
でも、企画や試作の段階から入ると違う。
- 顧客と一緒に考える
- 仕様を決める
- 成功確率を上げる
こうなると、単なる加工賃ではなくなる。
価格決定権が少しずつこちらに移る。
工程ポジションが利益を決める
これも大きな気づきだった。
どの工程に入るかで、利益は変わる。
後工程だけなら、価格競争になりやすい。
- 企画
- 設計
- 試作
- 顧客課題の整理
ここから入ると、代替されにくい。
つまり、高単価化の鍵は、
技術力よりも、上流工程に入れるか
なのだと思う。
データ資産は、持っているだけでは意味がない
アクストのような会社では、顧客カルテや足のデータが強みになる。
ただし、
データを持っている
だけでは弱い。
重要なのは、そのデータがどう競争優位に変わるかだ。
データが提案精度を上げる
たとえば、過去の足型データ。
歩き方。
修理履歴。
購入履歴。
足の悩み。
これらが蓄積されると、次回提案の精度が上がる。
さらに、似た悩みを持つ顧客に対して、パターン化した提案ができる。
つまり、経験が積み上がるほど、外れにくくなる。
ここまで言えて、初めてデータ資産になる。
法人展開では広すぎる
自分の弱点として、ターゲットが広くなる癖もある。
たとえば、
- 法人向けに展開する
- 海外市場を狙う
- 美容・介護業界へ広げる
こう書くと、一見それっぽい。
でも、かなり粗い。
ターゲットは、業界ではなく痛みで決める
たとえば靴メーカーなら、
美容業界向け
ではまだ広い。
もっと絞るなら、
一日中立ちっぱなしで、夕方には足腰が限界になる美容師
ここまで書く。
医療用模擬臓器なら、
医療教育機関向け
ではなく、
認定試験前に、再現性のある練習環境を必要とする若手医師
ここまで書く。
このくらい具体化すると、商品も価格も営業方法も見えてくる。
BtoCは売上源とは限らない
これも面白い視点だった。
BtoCに展開すると、すぐに売上拡大の話に見える。
でも、必ずしもそうではない。
BtoCは、売上源というより、
現場の声を拾う場所
かもしれない。
BtoCをR&D拠点として見る
たとえば靴の直営店。
これは単なる販売店ではない。
- 顧客の悩みを聞く
- 足のデータを取る
- 履き心地を確認する
- 改善点を見つける
つまり、研究開発拠点でもある。
ここで拾った声を、BtoBやODMに戻す。
そう考えると、BtoCの意味が変わる。
仕組み化は、もっと具体的に書く
もう一つの課題は、
仕組み化
が抽象的になりがちなこと。
- 標準化する
- DB化する
- 教育する
これだけでは弱い。
誰が、何を、どう蓄積するのか
たとえば設計工程のDB化なら、
- 顧客要望
- 初期ラフ案
- 試作回数
- 不具合内容
- 修正履歴
- 量産時のトラブル
- 最終仕様
こういう情報を残す。
そして、次の類似案件で参照する。
ここまで書くと、ようやく実務になる。
品質維持と量産のジレンマ
特に医療機器や精密加工では、ここが重要だと思う。
需要が増えたからといって、簡単に外注すればいいわけではない。
品質が落ちれば、信用を失う。
だから、
- どこまで自社で握るか
- どこから外部に任せるか
- どの基準を満たせば認定するか
を設計しないといけない。
ここまで見ないと、事業拡大は危ない。
今後の自分に必要な視点
整理すると、これから意識すべきことは4つある。
- 技術力を構造的優位に置き換えること
- 価格決定権がどこで生まれるかを見ること
- ターゲットを業界ではなく痛みで決めること
- データや標準化を実務レベルまで落とすこと
最後に
自分の分析には、経営者に寄り添う温かさはあると思う。
その会社の想いをくみ取り、価値を再定義する力も、少しずつ磨かれてきた。
でも、それだけでは足りない。
必要なのは、
- 価格決定権という冷徹な視点
- データが競争優位に変わる仕組み
- 現場で回る運用設計
ここまで入って初めて、戦略は本当に強くなる。
「良い会社ですね」
で終わらせない。
なぜ勝てるのか。
どう儲かるのか。
どう続けるのか。
そこまで書けるようになりたい。

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