最近、自分の企業診断を振り返っていて、少し見えてきたことがある。
戦略の方向性は、大きく外していない。
- 卸から直販へ
- 一般品からプロ専用品へ
- ブラックな組織から働きやすい組織へ
- 売り切りから継続接点へ
こうした「構造の変化」は、かなり捉えられるようになってきた。
でも、まだ足りない。
一言で言えば、
戦略が“現実の商売”まで落ち切っていない。
便利な言葉に逃げてしまう
一番の反省はここだ。
つい、便利な言葉を使ってしまう。
- サブスク
- SaaS
- ブランド化
- LTV向上
- 標準化
どれも間違いではない。
でも、かなり危ない。
なぜなら、中身がなくても、それっぽく見えるからだ。
包丁店に必要なのは「サブスク」なのか
例えば、包丁専門店に「サブスク」と書く。
一見、今っぽい。
でも、本当に顧客は包丁を毎月買うのか。
そんなはずはない。
この場合、自然なのは「サブスク」ではなく、
会員制メンテナンス
だと思う。
- 研ぎ
- 補修
- 使い方相談
- 買い替え提案
これなら、顧客が継続的にお金を払う理由がある。
言葉を選ぶ前に、
そのビジネスにとって自然な継続の形は何か
を考えないといけない。
Web制作会社にSaaSは本当に合うのか
同じことはWeb制作会社にも言える。
「将来的にSaaS化」と書きたくなる。
でも、その会社の強みが「人による提案力」なら、SaaSはむしろ強みを殺す可能性がある。
ツールで勝つなら、競合は一気に広がる。
それより自然なのは、
改善伴走サービス
だと思う。
- アクセス分析
- 改善提案
- 実装支援
- 次の打ち手の設計
これなら、会社の強みである「提案力」がそのまま活きる。
流行語に乗るのではなく、
強みが一番活きる形にする。
「プル型が課題」では浅い
以前なら、こう書いていた。
「プル型の販売で待ちの姿勢が課題」
でも、これも少し浅い。
本当の課題は、待ちの販売ではない。
問題は、
売上の再現性が弱いこと
だ。
問い合わせや紹介が来るのは良い。
むしろ強みである。
ただ、それが誰の紹介で、どんな顧客で、なぜ受注できたのか。
このパターンが見えていなければ、再現できない。
つまり課題は「待ち」ではなく、
勝ちパターンが仕組み化されていないこと
なのだと思う。
標準化だけでは足りない
「標準化」も便利な言葉だ。
つい何でも標準化と書きたくなる。
でも、熟練技能の世界では、全部をマニュアル化するのは無理がある。
- 包丁の最終仕上げ
- 職人の刃先調整
- 顧客の微妙な好みの読み取り
これは、簡単にマニュアル化できない。
では、どうするか。
答えは、
分業とパターン化
だと思う。
- 若手でもできる前加工
- 職人が担う最終調整
- 顧客タイプ別の提案パターン
- 過去の相談内容のデータベース化
標準化とは、全部を同じにすることではない。
分けることなのだと思う。
「市場が近い」は危険
新市場を考えるときにも注意が必要だ。
「技術が近いから、別市場にも行ける」
これは危ない。
例えば、刃物技術があるから手術用メスへ。
一見、近く見える。
でも実際には、規制、購買構造、認証、販売ルートがまったく違う。
技術が近いことと、事業として近いことは違う。
ここを見落とすと、戦略は一気に危うくなる。
KPIも“結果”ではなく“行動”にする
KPIでも同じ課題がある。
つい、こう置いてしまう。
- リピート率
- 売上比率
- LTV
もちろん大事だ。
でも、これは結果である。
現場が明日から動かせる数字ではない。
本当に見るべきなのは、
- 紹介率
- 新規相談から購入への転換率
- 標準プロセスの適用率
- 研ぎ講座から高単価商品の購入率
- 改善提案の実施件数
こういう数字だと思う。
現場が動ける数字にしないと、KPIはただの観察項目になる。
成果保証ではなく、プロセス責任
Web制作のような仕事では、もう一つ難しい問題がある。
成果を保証できるのか。
これは正直、難しい。
ホームページを作ったからといって、必ず売上が上がるとは限らない。
顧客側の商品力、営業力、価格、競合状況にも左右される。
だから「成果保証」は危険だ。
でも逆に、成果から完全に逃げるのも弱い。
では、どこに責任を持つのか。
自分なりの答えはこれだ。
成果が出る確率を上げるプロセスに責任を持つ。
- ターゲット整理
- 強みの言語化
- 導線設計
- アクセス分析
- 改善提案
結果を断言するのではなく、
結果に近づく設計を担う。
結局、必要なのは「言葉の置き換え」
今回の学びを一言で言うなら、これだ。
それっぽい言葉を、現実の商売の言葉に置き換えること。
- サブスクではなく、会員制メンテナンス
- SaaSではなく、改善伴走
- 標準化ではなく、分業とパターン化
- プル型の課題ではなく、再現性の弱さ
この置き換えができると、戦略は一気に現実味を帯びる。
最後に
今の自分は、企業の強みを見抜く力は少しずつついてきたと思う。
でも、まだ粗い。
戦略が「正しい言葉」で止まっている。
これから必要なのは、きれいな戦略ではない。
現場で使える戦略だ。
「いい戦略」から「使える戦略」へ。
次の課題は、そこだと思う。

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