今日で、一旦この修行を終える。
正直に言えば、しんどかった。頭が追いつかない日もあった。
だが、間違いなく有意義だった。
KPIツリーを作って、運用する。それは「数字を並べる作業」ではなかった。
深い構造理解。理論。統計。AI。そして、人間の意思決定。
まだ身になったとは言えない。
しかし、ひとつだけ確かなことがある。
自分だけの教科書ができた。
あとは、実践で磨くしかない。
明日からはまた別のテーマを考える。だが、このシリーズで掴んだ核心は忘れない。
今回は、⑯〜㉑で掴んだ重要ポイントを5つに整理する。
このフェーズの核心はこうだ。
KPIツリーを「可視化ツール」から「意思決定の質とスピードを上げる装置」に進化させること。
1.「決定因子」という階層を入れる
これが最大の進化だった。
主要 → 先行 → 行動。
この3階層の間に、もう1段ある。決定因子(判断要因)だ。
行動KPIは動いている。しかし先行KPIが動かない。
この構造矛盾が起きるとき、原因は「量」ではなく「質」にある。
例えば、先行KPIが受注率なら、その決定因子はこうなる。
- 価格
- 納期
- 信頼
- 顧客の本気度
この層を挟まないと、永遠に件数を増やし続けることになる。
生成AIの本当の役割はここだ。
決定因子を再発見し、再定義すること。
2.生成AIで「非数値データ」を構造化する
現場の事実は、数値になっていない。
日報。商談メモ。自由記述。
これをAIで強制的に分類する。
- 価格
- 決裁プロセス
- 競合
- 顧客温度感
重要なのは順番だ。
最初から細かく入力させない。
まずは自由に書かせる。判断のタイミングで後付け分類する。
そして鉄則がある。AIには「事実のみ」「推測禁止」と明示する。
一般論で補完させた瞬間、構造は崩れる。
3.「実験型」から「構造型」へ
データがないときの意思決定はこうなる。
とりあえず試す。回数を増やす。
これは実験型だ。
しかし、決定因子が見えた瞬間、構造型に変わる。
- ボトルネックを1点に絞る
- 努力不足と構造的失敗を分ける
失注理由の多くが価格だとしても、可変性が低いと分かれば、無駄な努力を止められる。
戦略的撤退ができる。
4.役割分担を設計する
KPIツリーは全員が全部見るものではない。
現場(日次)
行動KPI+先行KPIだけを見る。今日の一手を1つ決める。
管理層(週次)
チームのばらつきを確認し、詰まりを特定し、実験設計を担う。
経営層(月次)
主要KPIのトレンドを見る。経営の役割は報告を聞くことではない。
資源配分を決めることだ。
ここが曖昧だと、ツリーは崩れる。
5.撤退判断の文化
ここが最も重要だ。
行動が効かない。それが分かった瞬間に止められるか。
撤退は失敗ではない。仮説検証の完了である。
撤退が早い組織ほど、学習速度は速い。
ただし社内では難しい。当事者バイアスがかかる。
だから外部伴走者がいる。
伴走会議で提示するのは、この3択だ。
- 継続
- 条件変更
- 撤退
分析の価値ではない。判断を止めないことが価値だ。
結論
これからKPIツリーを作る人へ。
精緻な正解を求める設計をしないこと。
目指すのは、意思決定に使える傾向を作る設計。
統計もAIも、解像度を上げる道具に過ぎない。本質は構造。そして、決める勇気。
この修行で得たのは、理論ではなく姿勢だったのかもしれない。
ここからが、本番である。

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