最近あらためて思う。
生成AIに戦略を採点してもらうのは、かなり効く。
甘くない。むしろ、遠慮がない。
だが、その分よく見える。
今回、いくつかの事例を見直していて分かったのは、自分の戦略案が弱く見えるときには、だいたい同じ理由があるということだ。
知識がないわけではない。考えていないわけでもない。
だが、詰め切れていない。
今日は、その「戦略が弱く見える原因」を4つに整理してみる。
1.言葉が正しくても、「勝つ理由」になっていない
まず一番多いのがこれだ。
言葉は正しい。だが、戦略としては弱い。
たとえば、
- 健康支援
- 日本文化の提供
- 高品質
- 商品ラインナップの豊富さ
どれも悪くない。むしろ、きれいだ。
だが、厳しく言えば、他社でも言える。
ここが問題だ。
戦略で必要なのは、「良いことを言う」ことではない。
「なぜその会社が選ばれるのか」を言い切ることだ。
健康なら何か。
- 腸活か
- 低糖質か
- 介護食か
日本文化なら何か。
- 二条城の隣という立地なのか
- 職人のライブ感なのか
- 再会の乾杯という用途なのか
つまり、戦略は抽象語のままではダメで、誰が聞いても同じ絵が浮かぶレベルまで落とさないといけない。
最近つくづく思う。
「高品質」は強みではなく、結果であることが多い。
本当に見るべきは、その高品質を生み出している模倣困難な構造のほうだ。
- 歴史
- 立地
- 特許
- BCP領域での信頼
- 社長の発信力
- 用途設計力
このあたりまで掘って初めて、戦略の芯が見えてくる。
2.「何を売るか」はあるが、「どう儲け続けるか」が弱い
これもかなり痛い。
商品やサービスの話は書いている。だが、「その結果、どうやって利益が残る構造になるのか」が甘い。
売上を上げることと、利益が残ることは違う。
ここを雑にすると、
- 売れているのに儲からない
- 忙しいのに残らない
という、よくある苦しい事業になる。
特に製造業や卸は、この罠が大きい。
- 売り切り型
- 価格決定権が弱い
- 需要が波打つ
この構造を変えない限り、単発で売れても苦しいままだ。
だから最近は、「何を売るか」より先に「どんな収益モデルにしたいのか」を考えないといけないと感じている。
単なるサブスクでは弱い。
- 健康メニュー監修+食材定期提供なのか
- 監視データを使ったサブスク保守なのか
- PB化して粗利率を上げるのか
そこまで書かないと、収益モデルにならない。
そしてもう一つ大事なのは、誰に売るかを選ぶことだ。
- 医療
- 介護
- BCP対策企業
- 価格ではなく価値を見てくれる層
つまり戦略とは、市場全体に広く打つことではなく、利益が出る場所へ営業をシフトすることでもある。
3.時間軸とKPIの因果が、時々ズレる
これも自分のクセだと思う。
話はつながっているようで、よく見ると飛んでいる。
たとえば、
- 土台ができていないのに急に海外展開を書く
- 品質や供給が安定していないのに定期モデルを書く
- 「海外売上比率」をLTVのように扱ってしまう
こういうズレが起きる。
つまり、何を先に整えないと次に行けないか。どの数字が本当に利益を動かすか。この因果のつなぎ方が、まだ甘い。
本来は、
標準化
↓
可視化
↓
モデル化
↓
展開
この順番が基本だ。
もちろん例外はある。だが、前提条件を無視して飛ぶと、戦略は急に薄くなる。
KPIも同じだ。
自社ブランド売上比率、海外売上比率。これらは大事だが、結果に近い。
現場が直接動かせるレバーではないことも多い。
本当に必要なのは、
- 用途別SKU比率
- 体験からの会員化率
- フォロー実施率
- 用途提案数
- 比較表提示率
のように、現場の行動に直結する数字だ。
つまり、KPIは「観察する数字」ではなく、「動かす数字」にしないといけない。
そして最近、特に大事だと思うのが用途戦略の発想だ。
商品から考えるのではなく、用途から考える。
- 酒なら「再会の乾杯」
- 食なら「腸活」「高齢者食」
- 建設なら「BCP対応」
用途 → 味や機能 → 商品設計
この順で考えると、戦略が一気に具体になる。
4.効率化を書いた瞬間、その会社らしさを壊すことがある
これはかなり深い指摘だった。
私はときどき、正しさを優先しすぎる。
たとえば、
- コスト低減
- 業務効率化
- 標準化
- 管理強化
どれも必要だ。だが、それを前面に出すとズレる会社がある。
たとえば、感動価値で選ばれている会社だ。
そういう会社に対して「コストを下げましょう」を前に出すと、急にらしさが消える。
これは危ない。
戦略とは、単なる効率化ではない。
その会社の思想を守りながら、続く体質にすることだ。
だから言い方も重要になる。
- コスト低減ではなく、感動価値を維持するための経営体質強化
- 効率化ではなく、価値を届け続けるための再現性づくり
この違いは大きい。
戦略は数字だけで作るものではない。
企業の思想とズレた瞬間、現場は動かなくなる。
総括
今回あらためて分かったのは、戦略が弱く見える原因は、考えが浅いからではないということだ。
むしろ、
- 言葉をきれいにまとめすぎる
- 強みを結果で見てしまう
- 利益構造を詰め切らない
- 前提条件を飛ばす
- 結果指標をレバーだと思う
- 効率を優先して思想をずらす
このあたりに、自分の弱点がある。
だからこれからは、戦略を書くたびに、こう問い直したい。
- それは他社でも言えないか。
- その会社だけの模倣困難な構造は何か。
- どう儲け続けるのか。
- その順番で本当に成立するのか。
- 現場が動かせる数字まで落ちているか。
- その会社の思想を壊していないか。
戦略は、正しい言葉を並べることではない。
勝つ理由を、具体的な構造と数字に落とすことだ。
生成AIに突かれるのは、やはり痛い。だが、その痛みはかなりありがたい。
少なくとも、まだまだ改善できる余地があることだけは、よく分かった。

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