KPIツリー作成のスキルアップ㉕ まとめ④(最後)|修行の終わりと、本当のスタート

DX・IT

今日で、一旦この修行を終える。

正直に言えば、しんどかった。頭が追いつかない日もあった。

だが、間違いなく有意義だった。

KPIツリーを作って、運用する。それは「数字を並べる作業」ではなかった。
深い構造理解。理論。統計。AI。そして、人間の意思決定。

まだ身になったとは言えない。
しかし、ひとつだけ確かなことがある。

自分だけの教科書ができた。

あとは、実践で磨くしかない。

明日からはまた別のテーマを考える。だが、このシリーズで掴んだ核心は忘れない。

今回は、⑯〜㉑で掴んだ重要ポイントを5つに整理する。

このフェーズの核心はこうだ。
KPIツリーを「可視化ツール」から「意思決定の質とスピードを上げる装置」に進化させること。


1.「決定因子」という階層を入れる

これが最大の進化だった。

主要 → 先行 → 行動。

この3階層の間に、もう1段ある。決定因子(判断要因)だ。

行動KPIは動いている。しかし先行KPIが動かない。
この構造矛盾が起きるとき、原因は「量」ではなく「質」にある。

例えば、先行KPIが受注率なら、その決定因子はこうなる。

  • 価格
  • 納期
  • 信頼
  • 顧客の本気度

この層を挟まないと、永遠に件数を増やし続けることになる。

生成AIの本当の役割はここだ。
決定因子を再発見し、再定義すること。


2.生成AIで「非数値データ」を構造化する

現場の事実は、数値になっていない。

日報。商談メモ。自由記述。

これをAIで強制的に分類する。

  • 価格
  • 決裁プロセス
  • 競合
  • 顧客温度感

重要なのは順番だ。

最初から細かく入力させない。
まずは自由に書かせる。判断のタイミングで後付け分類する。

そして鉄則がある。AIには「事実のみ」「推測禁止」と明示する。
一般論で補完させた瞬間、構造は崩れる。


3.「実験型」から「構造型」へ

データがないときの意思決定はこうなる。

とりあえず試す。回数を増やす。

これは実験型だ。

しかし、決定因子が見えた瞬間、構造型に変わる。

  • ボトルネックを1点に絞る
  • 努力不足と構造的失敗を分ける

失注理由の多くが価格だとしても、可変性が低いと分かれば、無駄な努力を止められる。
戦略的撤退ができる。


4.役割分担を設計する

KPIツリーは全員が全部見るものではない。

現場(日次)

行動KPI+先行KPIだけを見る。今日の一手を1つ決める。

管理層(週次)

チームのばらつきを確認し、詰まりを特定し、実験設計を担う。

経営層(月次)

主要KPIのトレンドを見る。経営の役割は報告を聞くことではない。
資源配分を決めることだ。

ここが曖昧だと、ツリーは崩れる。


5.撤退判断の文化

ここが最も重要だ。

行動が効かない。それが分かった瞬間に止められるか。

撤退は失敗ではない。仮説検証の完了である。

撤退が早い組織ほど、学習速度は速い。

ただし社内では難しい。当事者バイアスがかかる。
だから外部伴走者がいる。

伴走会議で提示するのは、この3択だ。

  • 継続
  • 条件変更
  • 撤退

分析の価値ではない。判断を止めないことが価値だ。


結論

これからKPIツリーを作る人へ。

精緻な正解を求める設計をしないこと。

目指すのは、意思決定に使える傾向を作る設計。

統計もAIも、解像度を上げる道具に過ぎない。本質は構造。そして、決める勇気。

この修行で得たのは、理論ではなく姿勢だったのかもしれない。

ここからが、本番である。

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