事業戦略を考える上でのポイント③|生成AIに突かれて見えた「戦略がズレる5つの落とし穴」

DX・IT

最近、生成AIに記事を採点してもらうたびに思う。

厳しい。だが、かなり当たっている。

しかも面白いのは、毎回バラバラの指摘を受けているようでいて、実は同じところでつまずいていることだ。

今回は、その「いつものズレ方」を整理してみた。

見えてきたのは、知識不足というより、戦略を考えるときの思考の落とし穴だった。

今日はそれを5つにまとめる。


1.言葉がきれいでも、戦略は尖らない

最も多く指摘されたのはこれだ。

表現が一般的すぎる。

たとえば、

  • 履き心地が良い
  • 健康支援
  • 体験価値
  • 標準化

一見、間違っていない。だが、弱い。

なぜなら、それだけでは「顧客がなぜ買うのか」「競合と何が違うのか」が見えないからだ。

戦略で必要なのは、正しい言葉ではなく、尖った言葉だ。

健康支援なら、何か。

  • 腸活か
  • 低糖質か
  • 高齢者食か
  • 美容師向けの立ち仕事対策か

ここまで絞らないと、誰でも言える話で終わる。

だから最近は、こう自分に問いかけるようにしている。

「それ、他社でも言えませんか?」

この問いに耐えられない言葉は、戦略から外す。


2.「何を売るか」はあっても、「どう儲けるか」が弱い

これもかなり痛い指摘だった。

商品やサービスの話は書いている。しかし、「その結果、どう利益が残る構造になるのか」が弱い。

売上を伸ばす話と、儲かる話は別だ。

ここを混同すると、売れているのに薄利、忙しいのに儲からない、というよくある地獄に入る。

本当に考えるべきなのは、単価や条件だけではない。

  • 生産性
  • 在庫回転
  • ロット適合
  • 供給体制
  • 帰り便
  • 拠点配置

つまり、利益を「面」で見ることだ。

点としての単価。線としての契約条件。面としての事業構造。

ここまで考えて初めて、戦略になる。

さらに重要なのは、「何を取りにいくか」だけでなく「何を捨てるか」を決めることだ。

戦略とは、選ぶことだ。


3.順番を飛ばすと、戦略はそれっぽく見えて崩れる

これも自分にかなりある。

標準化ができていない。粗利も見えていない。供給も安定していない。

それなのに、

  • サブスク
  • 海外展開
  • 高付加価値化

と書いてしまう。

つまり、話が飛ぶ。

本来はこうだ。

標準化

可視化

モデル化

展開

この順番が崩れると、戦略は一気に危うくなる。

たとえばサブスク。聞こえはいい。だが、成立条件がある。

  • 品質が安定しているか
  • 供給が安定しているか
  • 定期交換需要があるか
  • ケアや修理の仕組みがあるか
  • データが蓄積するか

これがないまま始めると、継続収益どころか、継続クレームになる。

大事なのは、短期・中期・長期と書くことではない。

「次の一手の前提条件が揃っているか」を確認することだ。


4.KPIを作っても、レバーを外していることがある

これも本質的だった。

KPIを考えるとき、私はときどき結果に近い数字を「動かす数字」だと思ってしまう。

たとえば、

  • 海外売上比率
  • 売上構成比
  • プロセス定着

これらは大事だ。だが、現場で動かせるかと言うと微妙だ。

現場が動かせない数字を置くと、会議で眺めるだけになる。

本当に必要なのは、現場がYes/Noで測れ、実際に動かせる数字だ。

たとえば、

  • フォローメール実施率
  • 会員登録誘導率
  • 提案後3日以内接触率
  • 比較表提示率

こういう数字まで落とすと、初めて現場が動く。

さらに言えば、経営レバーそのものを見誤ってはいけない。

営業利益を動かすのは何か。

  • 売上なのか
  • 粗利率なのか
  • 1人当たり付加価値なのか
  • 時間当たり利益なのか

ここを外すと、KPIツリー全体がズレる。


5.手段を戦略だと思ってしまう

これもかなり刺さる。

データドリブン経営をする。AIを活用する。ITで効率化する。

全部、大事だ。だが、それ自体は戦略ではない。

それは手段だ。

戦略とは、「何を変えて、何の利益を取りにいくのか」である。

データドリブン経営は理念。AI活用はツール。ITは裏側。

顧客が買うのは、そこではない。

顧客が買うのは、

  • 品質保証
  • 短納期
  • 提案の精度
  • 安心感
  • 再現性

こうした価値だ。

だから順番は逆にしてはいけない。

まず目的を決める。

  • 時間当たり利益を最大化したいのか
  • 高粗利顧客に集中したいのか
  • 低収益案件を減らしたいのか

その後に、AIやITを置く。

ここを逆にすると、「AIを使いたいから使う」という危ない状態になる。


総括

今回あらためて分かったのは、戦略がズレる原因は、発想不足ではないということだ。

むしろ逆で、

  • それっぽい言葉で早くまとめてしまうこと
  • 一般論で止めてしまうこと
  • 利益構造を詰め切らないこと
  • 前提条件を飛ばすこと
  • 結果指標をレバーだと思ってしまうこと

このあたりに、自分のクセがある。

だから、これから戦略を考えるときは、次の問いを何度も入れたい。

  • それは誰にでも言える話ではないか。
  • 顧客が買う理由まで翻訳できているか。
  • どう儲かる構造なのか。
  • その順番で本当に成立するのか。
  • 現場が動かせる数字まで落ちているか。
  • それは手段ではなく、目的につながっているか。

戦略は、うまい言葉を並べることではない。

構造を、具体に落とすことだ。

生成AIに突かれるのは痛い。だが、その痛みはかなり効く。

少なくとも私は、まだまだ伸びしろがあると分かった。

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