前回の「KPIツリー作成のスキルアップ⑩」では、
行動KPIが形骸化する瞬間について整理しました。
今回はその続きです。
テーマは、少し刺激的ですが、とても重要な問い。
「行動KPIを、どう捨てるか」
ここを避けている限り、
KPIツリーは必ずどこかで止まります。
行動KPIは「疑われ続ける前提の仮説」である
まず、前提をはっきりさせます。
行動KPIは、
- 正解を当てるためのものではない
- 守り続けるものでもない
「疑われ続ける前提の仮説」です。
だから、自然と次の問いが出てきます。
- いつ疑い始めるのか
- どうなったら、やめるのか
- やめた後、何に置き換えるのか
今回は、この3点を整理します。
① いつ疑い始めるのか
結論は、かなりシンプルです。
「行動KPIは動いているのに、先行KPIが動かない瞬間」
この状態が続いたときです。
よくある現場の状態を並べると、こうなります。
- 行動KPIの件数は達成している
- 報告資料もきれいに揃っている
- でも、先行KPIが動かない
さらに危険なのは、こんな兆候です。
- 行動KPIの数字は説明できる
- でも、先行KPIがなぜ動かないか語られなくなる
これは、
数字管理はできている。
でも、意思決定が止まっている状態。
この瞬間、その行動KPIは
「改善の道具」ではなく、「報告のための数字」になっています。
② どう捨てるか
「捨てる」という言葉は強いですが、
実際にやることは、とてもシンプルです。
「この行動で、何が起きるはずだったか」を言葉にする
例えば、
- この提案をすれば、何が変わる想定だったのか
- この確認を増やせば、どの先行KPIが動くはずだったのか
行動 → 先行KPI までを、
因果として説明できるか。
もし説明できないなら、その行動KPIは役目を終えています。
重要なのは、
頑張ったかどうかでも、
件数をこなしたかどうかでもありません。
先行KPIを動かす因果が、今も成立しているかです。
③ どう入れ替えるか
捨てた後にやることは、反省会ではありません。
やるべき問いは一つ。
「なぜ、先行KPIが動かなかったのか」
例えば、こんなケース。
- 提案回数を増やした
- でも先行KPIは動かない
ここで止まらず、一段掘ります。
- 提案内容が顧客に合っていないのでは?
- 条件を満たす顧客以外にも提案していたのでは?
- 提案内容が属人化して、ばらついているのでは?
これを少し抽象化すると、構造が見えてきます。
- 量(提案回数)
- 質(内容が合っているか)
- 構造(属人化していないか、標準化されているか)
ここから導かれる次の行動KPIは、
必ず「前より狭く、前より具体的」になります。
まとめ
行動KPIは、正解を当てるためのものではありません。
だからこそ、
- 疑う
- 捨てる
- 入れ替える
この3つができて、
はじめてKPIツリーは生き続ける。
行動KPIを捨てられない組織は、改善を止めています。
行動KPIを自然に捨てられる組織は、意思決定が回り続けています。
KPIツリーとは、数字の体系ではなく、
意思決定を進化させ続ける装置なのだと思います。

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