「残業ゼロなんて無理」を覆した。サカタ製作所に学ぶ、生産性改革の進め方

勝手に企業診断

国内トップクラスのシェアを持ち、仕事量には恵まれていたものの、人手に依存した業務が多く、月70時間もの残業が当たり前となっていた企業がある。

しかし、ペーパーレス化や情報共有、業務の見える化を進めることで、生産性を大きく向上させ、「シェア拡大」と「残業ゼロ」を両立した。

その原動力となったのは、経営者の強い決意と、全社員が一体となって改善活動に取り組む企業文化だった。

今回は、その改革を実現したサカタ製作所を紹介する。

月70時間の残業が当たり前だった

サカタ製作所は、新潟県に本社を置く屋根部品メーカーである。

屋根本体ではなく、金具やタイトフレームなどの屋根部品を製造し、国内トップクラスのシェアを持つ。

扱う部品は約5万種類。

顧客ごとに細かな仕様変更にも対応できる、高い技術力が強みだ。

しかし、その裏側では人に頼る業務が多く、残業が常態化していた。

月70時間の残業は当たり前。

社員は疲弊し、社内の雰囲気も悪かった。

外部コンサルタントからは、

「こんな会社は見たことがない」

と言われるほどだった。

社長の一言が会社を変えた

転機は社長自身の体験だった。

リーマンショックで会社は大きな赤字となり、上場も断念。

さらに社長自身が心筋梗塞で倒れる。

回復後、東日本大震災による復興需要で仕事は急増した。

しかし、それに伴って残業もさらに増えた。

このままでは社員の健康を守れない。

そう考えた社長は、

「残業ゼロにする」

と宣言する。

当然、社内からは反対の声が上がった。

「売上が下がる」

「納期に間に合わない」

「お客様を失う」

それでも社長は考え方を変えなかった。

「残業を前提に仕事をする」のではなく、

「残業しなくても仕事が終わる仕組みを作る」

ことに挑戦したのである。

DXは目的ではなく手段だった

サカタ製作所の改革で印象的なのは、

DXを導入すること自体が目的ではなかった点だ。

例えば、

  • 工場内の進捗をリアルタイムで見える化
  • 設計業務で解析ソフトを活用
  • 情報共有のデジタル化
  • 商談内容を社内SNSで共有

などを進めた。

これによって、

「誰が、どこで、何をしているか」

が見えるようになり、段取りや待ち時間が大幅に減った。

DXは、生産性を上げるための手段だったのである。

情報共有が会社を強くした

もう一つ印象的なのは、

情報共有への徹底した取り組みである。

営業は製造を学ぶ。

製造は自分が作った部品が現場でどう使われるかを学ぶ。

ベテランが持つ知識は勉強会で共有し、マニュアル化する。

部門を超えて学び合う文化が生まれた。

その結果、

属人化が減り、組織全体で改善を進められる会社へ変わっていった。

利益構造はどう変わったのか

サカタ製作所の変化を整理すると、次のようになる。

働き方

残業前提

残業ゼロ

製造

紙中心の管理

DXによる見える化

情報

属人化・サイロ化

全社で情報共有

営業

何でも受注

納期・価格を交渉する営業

単に効率化しただけではない。

利益を重視した受注へと考え方も変わったのである。

今後の成長戦略を考える

短期的には、顧客別・部品別の採算性を可視化し、高収益分野への集中を進めるべきだろう。

また、改善活動をデータで見える化し、成果を共有・表彰することで、現場改善の文化をさらに強化できる。

さらに、蓄積された設計データを分析し、設計パターンを標準化できれば、セミオーダー化も進められる。

中期的には、顧客の企画段階から参画し、高付加価値案件を増やすとともに、屋根部品の点検や保守サービスなど、継続収益につながるサービスも検討できるだろう。

長期的には、国内で培った技術を海外へ展開することも考えられる。

製品を輸出するだけではなく、屋根部品の設計・製造ノウハウそのものを技術提供する。

国内トップクラスの実績を活かせる新たな成長戦略になる可能性がある。

まとめ

サカタ製作所の事例から学べることは多い。

その中でも最も印象に残ったのは、

「残業を減らす」のではなく、「残業しなくても成果が出る仕組みを作る」

という発想だった。

DXも情報共有も現場改善も、すべてはその目的を実現するための手段だった。

働き方改革は、社員のためだけではない。

企業の競争力を高める経営戦略でもあることを、この事例は教えてくれる。

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