食品包装。
普通は、コスト扱いされやすい。
できるだけ安く。
できるだけ大量に。
それが基本だ。
実際、包装業界は価格競争が激しい。
差別化も難しい。
でも、吉村はそこを真正面から否定した。
「袋」は本当に袋なのか
吉村は、食品包装資材の製造会社だ。
主力は日本茶のパッケージ。
フィルムやアルミ箔を貼り合わせた、いわゆる難包装を手がけている。
年間1億枚を製造し、取引先は約8,000社。
そのうち7,000社以上がお茶屋だ。
かなり日本茶に深く入り込んでいる会社である。
パッケージは「伝えるための道具」
吉村の考え方は面白い。
パッケージを、単なる袋として見ていない。
販売者や生産者の思いを伝える道具
として捉えている。
- 生産者の思い
- 商品の背景
- ブランドの世界観
それを届けるためのツール。
つまり、パッケージを広告ではなく、
体験
として見ている。
お茶業界に深く入り込んでいる強さ
普通は、リスク分散のために業界を広げたくなる。
でも吉村は逆だ。
日本茶に深く入り込んでいる。
これが強みになっている。
お茶屋との取引が多いということは、単に顧客数が多いだけではない。
お茶業界の悩み、売り方、文化を理解しているということだ。
「静岡」にいる意味
ここも大きい。
静岡は、日本有数のお茶産地。
つまり、産地に近い。
生産者に近い。
文化に近い。
単なる工場ではなく、
地域文化の中にいる会社
なのだ。
一貫生産が強い
吉村は、
- デザイン
- 印刷
- 加工
- 出荷
まで一貫して対応できる。
ここも大きい。
パッケージは、実はかなり調整が多い。
デザインだけ良くてもダメ。
印刷だけでもダメ。
加工でも問題が起きる。
だから分断されると弱い。
吉村は、そこを一気通貫で対応できる。
面白いのは「人に寄り添う経営」
この会社は、かなり泥臭い。
昔の従業員満足調査は、かなり厳しかったらしい。
- 給料を上げろ
- 有休をよこせ
- 組織が分かっていない
かなり生々しい。
しかも、
「書いてもどうせ変わらない」
と思われていた。
これは苦しい。
でも、社長は逃げなかった
普通、こういう結果は隠したくなる。
でも、社長は逆をやった。
オープン化だ。
経営計画を見せる。
理念も見せる。
戦略も見せる。
さらに、それを個人目標まで落とし込む。
「マル秘ノート」という仕組みを作った。
経営を自分事にした
さらに、経常利益の4分の1を社員に還元する。
つまり、
会社が良くなることが、自分にも返ってくる
構造にした。
これはかなり重要だ。
中小企業では、経営と現場が分離しているケースが多い。
でも吉村は、そこをつなぎにいった。
全員参加型経営は、意外と難しい
全員参加型経営。
言葉にするときれいだ。
でも実際は難しい。
現場は忙しい。
改善提案をしても、
「どうせ変わらない」
と思われやすい。
だから制度だけでは動かない。
結局、社長本人が本気かどうか。
そこが問われる。
日本茶離れという現実
もちろん、厳しい話もある。
日本茶市場は縮小傾向にある。
若い人ほど、急須でお茶を入れない。
これはかなり大きい。
つまり、既存市場だけでは苦しい。
だから「文化」を売ろうとしている
ここが面白い。
吉村は、単に袋を売っていない。
お茶文化そのものを広げようとしている。
- スターターキット
- イベント
- SNSコミュニティ
- お茶の楽しみ方発信
かなり文化寄りだ。
これは単なる包装会社ではない。
「日本茶をどう生活に取り入れるか」
特に良いと思ったのはここだ。
日本茶を、どう生活に取り入れるか。
ここまで踏み込んでいる。
商品単体ではなく、
生活シーン
を提案している。
これはかなり強い。
ただし、課題もある
一方で、難しい部分もある。
取引先は約8,000社。
これは強みでもあるが、同時に危険でもある。
リソースが分散しやすい。
利益管理も難しくなる。
つまり、
忙しいのに儲からない
になりやすい。
だから採算管理が重要
ここはかなり重要だ。
- 商品別
- 顧客別
- 工程別
これを見ないと危ない。
特に包装は、少量多品種になるほど複雑化しやすい。
売上が増えても、利益が出ない。
ここは要注意だ。
「売れるパッケージ」を武器にできるか
個人的には、ここが今後の勝負だと思う。
吉村の本当の強みは、
作れることではなく、伝わる設計ができること
にある。
つまり、
売れる世界観を設計できること。
ここを企画サービスとして強化できると、かなり強い。
包装会社からの脱却
結局、吉村は何をやっているのか。
整理すると、単なる包装会社ではない。
やっているのは、
地域文化を伝える会社
に近い。
最後に
価格競争の業界は厳しい。
でも、吉村を見ていると分かる。
商品そのものではなく、
意味
を変えることで、戦い方は変わる。
袋を売るのではない。
思いを届ける。
文化を届ける。
世界観を届ける。
そこまで行けるか。
中小企業の差別化は、結局そこなのだと思う。

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