事業戦略を考える上でのポイント。「戦略の精度は言葉と構造で決まる」

DX・IT

最近、だんだん分かってきたことがある。

自分は、事業の筋を外しているわけではない。

方向感は、悪くない。

ただし、粗い。

この「粗い」という感覚が、今回かなりはっきりしてきた。

何が粗いのか。

言葉。
構造。
KPI。
そして、ビジネスモデルの成立条件。

要するに、戦略を作る力がないというより、戦略を最後まで練り込む力がまだ甘いのだと思う。

今日は、その反省を4つに整理してみる。


1.戦略コンセプトは「きれいな言葉」にした瞬間、弱くなる

まず一番大きい反省はこれだ。

言葉が抽象的になると、戦略の尖りが消える。

たとえば、

  • 高品質
  • 高難易度
  • 健康
  • 高級
  • EV、医療、精密機器向け

こういう言葉は、一見もっともらしい。だが、そのままだと弱い。

なぜか。

それでは、何を意味しているのかが曖昧だからだ。

たとえば「EV・医療・精密機器」と並べる。

一見、未来性があって良さそうに見える。だが実際には、

  • 求められる品質
  • 商流
  • 意思決定の仕方

がすべて違う。

これを一括りにしてしまうと、戦略ではなく願望になる。

「高難易度」も同じだ。

高難易度とは何か。

  • 極小なのか
  • 高精度なのか
  • 手加工なのか
  • 試作なのか

そこまで落ちないと、言葉として機能しない。

最近つくづく思う。

戦略を考えるときに怖いのは、間違った言葉ではない。耳ざわりの良い正しい言葉だ。

正しいが、弱い。誰でも言える。だから差別化にならない。

今後は、こう問い続けたい。

それって、他社でも言えませんか。

そして、形容詞をできるだけ、

  • 数字
  • 用途
  • 機能
  • 顧客ベネフィット

に変換していく。

それが、戦略の解像度を上げる第一歩だと思う。


2.戦略の前に「この会社は何で儲かっているのか」を書かなければならない

これもかなり大きな学びだった。

戦略を考える前に、その会社の事業構造を正確に捉えなければならない。

ここがズレると、全部ズレる。

たとえば、マッサージチェア事業。

私は最初、どうしても「メーカー」として見てしまう。だが本質は違う。

あれは装置設置ビジネスだ。

利益は

設置台数 × 利用回数 × 単価

で決まる。

つまり、売って終わりではない。

どこに置くか。何回使われるか。その稼働が維持されるか。こっちが本体だ。

中古部品ビジネスもそうだ。

環境企業、リサイクル企業と見たくなる。だが、事業構造で見ると本質は在庫 × 世界流通である。

しかも、

  • 供給は事故車依存
  • 需要は故障・事故依存

という、不確実性の高い構造を持っている。

つまり、この会社の核心は「環境」ではなく、不確実な需給をつなぐサプライチェーン能力にある。

この視点がないと、戦略はずれる。

最近、かなり意識するようになったのは、戦略を考える前にその会社の「儲けの式」を書くことだ。

売上=顧客数×単価くらいでは弱い。

もっと具体的に、

  • 設置台数 × 稼働率 × 利用回数
  • 顧客数 × 顧客内台数 × 更新頻度 × 単価
  • 在庫量 × 回転率 × 粗利率

のように、その事業固有の式まで落とす。

すると、どこがレバーで、どこがボトルネックかが見えやすくなる。


3.KPIは「見たい数字」ではなく「現場が動かせる数字」でなければならない

これも何度も突かれた。

私はときどき、結果指標をそのままKPIに置いてしまう。

たとえば、

  • 売上比率
  • 海外売上比率
  • ブランド認知率
  • 自社商品売上比率

もちろん大事だ。だが、現場がそれを明日から直接動かせるかと言うと、微妙だ。

ここが問題だ。

KPIは、きれいに整理された数字である必要はない。

現場が動かせる数字であることのほうが重要だ。

たとえば「ブランド認知率」よりも、

  • 指名受注率
  • 指名検索比率
  • 比較表提示率
  • 接点数
  • フォロー実施率

のほうが、はるかに実務的だ。

つまり、

結果

先行

行動

ここまで分解しないと、KPIは会議で眺めるための数字になる。

特に大きな反省は、「やらない戦略」をKPIに入れていないことだった。

  • 低単価案件を減らす
  • 量産案件を絞る
  • 価格競争案件を捨てる

こうした判断を数字で管理しないと、結局また薄利多売に戻る。

戦略とは、取る数字だけでなく、捨てる数字も管理することなのだと思う。


4.流行の手段は、成立条件を確認しないと危ない

これもかなり刺さった。

私はときどき、

  • サブスク
  • 海外展開
  • AI活用

といった言葉を、少し早めに置いてしまう。

もちろん、方向性としては間違っていないことも多い。だが、問題は成立条件だ。

サブスクは分かりやすい。

何でもサブスクにできるわけではない。

必要なのは、

  • 定期需要があるか
  • 消費周期が読めるか
  • 供給が安定しているか
  • 継続利用の価値があるか
  • データが蓄積するか

この条件だ。

調味料のように消費が不安定なものは、単純な「消費型サブスク」だと弱い。

むしろ、

  • 会員型
  • 体験型
  • ファン囲い込み型

として考えたほうが自然かもしれない。

海外展開も同じだ。

商社任せにすると、売れるかもしれない。だが、体験は伝わらない。ブランドも育ちにくい。

だから本当は、

商社でテストしつつ、
自社でもSNSや展示会で体験を作る。

この並行戦略が必要になる。

AIも同じだ。

AI活用は手段であって、戦略ではない。

見積作成を効率化したいのか。設計工数を減らしたいのか。標準化率を上げたいのか。

先に目的が必要だ。

つまり、新しい手段を入れるときは常に、

それは何の利益を最大化するためか

を明確にしないと危ない。


総括

今回あらためて感じたのは、自分の戦略が粗くなる原因は、発想不足ではないということ。

むしろ逆で、

  • 言葉を抽象のまま置く
  • 事業構造を浅く見る
  • 結果指標をそのままKPIにする
  • 手段の成立条件を詰めない

このあたりに、自分の弱点がある。

要するに、戦略の方向性は見えていても、最後の練り込みが甘いのだと思う。

だからこれからは、戦略を考えるたびに、こう問い直したい。

  • その言葉は、形容詞で逃げていないか。
  • その会社の儲けの式は何か。
  • そのKPIは現場が動かせるか。
  • その手段は、本当に成立するのか。

戦略は、うまいことを言う仕事ではない。

言葉を構造に落とし、数字に落とし、行動に落とす仕事だ。

今回少し考えることで「どこを直せばプロっぽくなるのか」が見えてきた気がする。

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