KPIツリー作成のスキルアップ⑨|先行KPIから「行動KPI」が落ちない理由と、わたしなりの解き方

DX・IT

KPIツリーを作っていて、
一番手が止まりやすいのはどこか?

わたしは、
先行KPI → 行動KPI
この変換だと思っています。

主要KPIや先行KPIまでは、それっぽく置ける。
でも最後の「じゃあ、現場は何をやるの?」で止まる。

今日は、そこだけに絞って整理します。
(KPIツリーを一度は作ったが、行動KPIで詰まったことがある人向けです)


なぜ行動KPIは、こんなにも難しいのか

わたしなりに整理すると、原因はだいたいこの3つです。

① 先行KPIは「状態」であって、行動ではない

これは以前も書きましたが、かなり重要です。

先行KPIは、あくまで状態を表します。

例えば
・リピート率
・実車率
・指名購買率

これらは
「良い/悪い」は分かるけど、
それ自体を“やる”ことはできない

つまり、先行KPIをそのまま行動KPIにしようとした瞬間、詰みます。

② 行動は、業務プロセスの中に埋もれている

現場の行動は、だいたいこうなっています。

・誰が
・どの業務の中で
・どの情報を見て
・どの判断をしているか

これが言語化されていない

結果として「行動KPIを考えよう」とすると、
・施策っぽい言葉
・精神論っぽい言葉
になりがちです。

③ KPIを作る人と、動く人が分断されている

これが一番根深い。

KPI設計者(経営・企画)は
・数字を見る
・構造を考える

一方、現場は
・日々の業務を回す
・判断を積み重ねる

この分断があると、KPIは観測で止まり、操作に落ちません。


そこで、わたしがやっている作り方

試行錯誤の結果、今はこんな流れで作っています。
言語化すると、腹落ちしやすくなりました。

① まずは生成AIに、行動案を大量に出させる

先行KPIから、いきなり自分で行動KPIを考えない。

まずは生成AIに相談します。
理由はシンプルで、生成AIは

・業務分解
・因果の候補出し
・過去事例の一般化

がとにかく強いから。

この段階では「正解かどうか」は気にしません。
網羅性、他社事例、論文知見を含めて
多面的に“候補”を出すことが目的です。

② 現場と一緒に「使える行動」だけに絞る

次にやるのは、現場確認。

ここで重要なのは、
・すでにやっていることは除く
・現実的に無理なことも除く

最終的に2〜3個まで絞る

特に重要なのが、「人が判断しているポイント」です。

例えば、帰り荷の話。

・配車担当が
・前日なのか当日なのか
・どの情報を見て
・何を決めているのか

現場が一番分かっているのは
・どこで時間を食っているか
・どこが詰まりやすいか
・変えられる/変えられない境界

これはデータや一般論だけでは絶対に分からない。
既存業務と接続した形で「自分ごと」として納得してもらう。
ここが最大の山場です。

このとき、必ず仮説を置きます。

この行動を増やすことで、
○○という判断の確率が上がり、
結果として△△(先行KPI)が動く

③ 行動KPIを「業務単位」にまで落とす

ここまで来たら、かなり具体化します。

・誰が
・いつ
・どうやって
・責任者は誰か

まで決める。

例えば
・前日15時までに帰り荷有無を確認した便の割合
・固定ルート以外で追加提案した回数
・荷主に調整連絡を入れた件数

ポイントは3つ。

・誰がやるかが明確
・やった/やらないが判別できる
・既存業務の延長線にある

④ 目標値は「評価用」ではなく「仮置き」

ここで数字を置きますが、評価や査定のためではありません。
目的はただ一つ。行動が回るかどうかを確認するため

だから
・高すぎてもダメ
・低すぎても意味がない

あくまで仮置きです。

⑤ 試す。ズレたら、戻る

最後は、とにかく試す。

・1週間
・1ヶ月

現場でPDCAを回してもらう。
もしズレていたら

・③に戻る
・④に戻る
・最悪②まで戻る

これは失敗ではありません。


行動KPIは「正解を作るもの」ではない

ここが一番伝えたいところです。

行動KPIは、最初から正解を作るものではありません。

・仮説を置く
・試す
・ズレたら戻る

この往復を前提にすると、先行KPIから行動KPIを落とす作業は
「難しい作業」ではなく「回せる作業」になります。

KPIツリーが動かない原因は、設計力ではなく、
行動に落とすプロセスが設計されていないこと

また一段、腹落ちしました。

コメント