多くの中小企業は「もっと売上を上げたい」「新規事業に挑戦したい」と考えています。しかし、実際に成果を出せる企業は驚くほど少ない。
では、何が違うのか。
伸びている会社は、広げる方向が上手い。しかも “広げるべき場所” を間違えない。
私は100社以上の成長企業の事例を分析してきましたが、成功企業には必ず「広げ方の型(パターン)」が存在します。この記事では、企業成長を生む“5つの広げる力”を体系化し、経営者がすぐに応用できる形で整理します。
■ 1. プロセスを広げる(前後の工程へ踏み込む)
もっとも利益率が上がる広げ方です。
- 前工程へ踏み込む → 原価をコントロールできる
- 後工程へ踏み込む → 顧客との距離が縮まり利益率が上がる
● 事例
- 丸山製麺:製麺所 → 自販機(後工程)
- 大町(食品卸):卸 → 自社ブランド(後工程)
- イケヒコ:畳材 → 畳生産・世界観発信(前工程&後工程)
- 吉村:包装メーカー → ビール開発(後工程)
- 宇都宮動物園:動物園 → キャンプ事業(後工程)
診断士的ポイント:プロセスを広げると利益モデルを作りやすく、提案価値が高い領域。
■ 2. 売り方・売り物を広げる(サブスク・EC・直販・体験・パッケージ化、オーダーメイド化、アップセル、コラボ)
商品は変わらなくても、売り方を変えるだけで利益が劇的に変わります。
● 事例
- スタイルブレッド:レストラン向けパン → 冷凍パンEC
- トネ製作所:金属部品 → “卵かけご飯スプーン”直販
- 白河だるま:お祝い・都道府県・武将シリーズ化
- 丸山製麺:ラーメン → 自販機サブスク
- アイコーポレーション:靴下 → カスタム注文
● 売り方を広げると何が起こるか
- 粗利率が上がる
- 中間業者を挟まず販売できる
- 顧客データが取れる
- リピート導線を作りやすい
■ 3. ターゲットを広げる(ユーザー・市場・地域)
今までの顧客とは異なる“別の人”に届ける方法です。
● 事例
- パティスリーソラカ:アレルギー層・グルテンフリー層に拡大
- 日興エボナイト:印鑑素材 → 文具好き・海外へ
- KODAKA:洋服パーツ → 空港インバウンドへ
- ベンチャーウイスキー:愛好家 → 世界のバイヤーへ
■ 4. 世界観を広げる(ブランドとしての拡張)
商品そのものではなく、「世界観」を価値にする広げ方です。
● 事例
- モメンタムファクトリー:銅の着色 → 生活雑貨・インテリア
- ふらここ:雛人形 → “赤ちゃん顔”の世界観で急成長
- 白ほう堂:化粧筆 → “美しい所作”をブランドに
世界観が強い企業は、価格競争に巻き込まれない。
■ 5. 技術の使い道を広げる(用途拡大型)
最も伸びしろの大きい広げ方です。
● 事例
- DG TAKANO:節水ノズル → 中東インフラへ
- スズキ機工:潤滑剤 → 機械・食品・農業へ
- TOK:ロータリーダンパー → 家具・自販機・家電へ
- 石川金網:金網 → アート・バッグ・模型へ
- モキ製作所:薪ストーブ → サウナ小屋
広げる企業の共通点は“軸から外さない”こと
広げる戦略は、無限にあります。しかし成功する企業の共通点はひとつ。
強みの軸をぶらさず、その外側へ半径を広げている。
軸が曖昧なまま広げると失敗します。まず、自社の軸を言語化することが最優先です。
診断士としてのまとめ
- 自社の「軸」を明確にする(技術・素材・世界観・用途…)
- 広げ方の型(5つ)から選ぶ
- KPIツリーで管理する(広げるほど管理が難しくなる)
広げるとは、手を広げることではなく、強みの半径を広げること。
この考え方さえあれば、中小企業はまだまだ伸びる余地があるとわたしは感じてます。


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