最近あらためて思う。
生成AIに戦略案を採点してもらうと、かなり痛い。
だが、その痛みの中に、かなり重要なヒントがある。
これまでは、
- もっと具体的に
- もっと尖らせる
といった反省で整理していた。
もちろんそれも間違っていない。
だが、今回見えてきたのは、もう少し深い話だった。
問題は、単に具体性が足りないことではない。
「思考の解像度」が足りていないのだ。
つまり、
- どこまで分解して考えるか
- どこまで現場に落ちる言葉に変換できるか
- どこまで構造で捉えられるか
ここが、プロとそうでない人の差になる。
今日は、そのポイントを4つにまとめる。
1.形容詞で逃げず、「事実」と「機能」に変換する
これはかなり刺さった。
私はつい、きれいな言葉を使ってしまう。
たとえば、
- 美味しい
- 健康
- 高品質
- 履き心地が良い
一見、問題ない。だが、これでは弱い。
なぜか。
それは、どの会社でも言えるからだ。
顧客は「良さそうな言葉」では財布を開かない。
財布を開くのは、もっと具体的な理由だ。
たとえば、
「ヘルシーで美味しい豚肉」
ではなく、
- 脂質を抑えている
- 甘みが強い
- 臭みが少ない
- 日常的に食べられる健康タンパク食である
ここまで落とす。
「履き心地が良い革靴」
ではなく、
- 12時間立ちっぱなしでも疲れにくい
- 長時間立ち仕事の疲労を軽減する業務用機能靴
ここまで変換する。
つまり大事なのは、
形容詞 → 事実 → 機能 → ベネフィット
この変換だ。
これができると、一気に言葉が強くなる。
2.経営者の悩みを、そのまま課題にしない
これもかなり重要だった。
経営者はよく、こう言う。
- 需要が不安定
- 価格競争が厳しい
- 売上が伸びない
- 人が足りない
もちろん、現実だ。
だが、これは多くの場合「現象」であって「原因」ではない。
ここをそのまま課題に置いてしまうと、戦略が浅くなる。
プロは、その一段下を見る。
なぜ、そうなっているのか。
たとえば、
「安定的な需要がない」
ではなく、
- 設計段階の川上に入れていない
- 店を回せる人材が定着しない
- 更新頻度が低い市場構造になっている
といった、構造的欠陥まで掘る。
ここで大事なのは、課題を書く前に「儲けの式」を書くことだと思う。
たとえば、
売上 = 顧客数 × 顧客内台数 × 更新頻度 × 単価
こう置いてみる。
すると、どの変数が弱いのかが見える。
- 顧客数なのか
- 更新頻度なのか
- 顧客内の深耕なのか
つまり、課題は感覚で書くのではなく、儲けの構造から逆算しないといけない。
3.マーケティングの前に、オペレーションを固める
これも自分にかなりあるクセだ。
私はつい、
- 新しい客層を取る
- 海外へ出る
- シニア向けに広げる
- サブスク化する
といった“攻め”を書きたくなる。
だが、現場型のビジネスでは、順番が逆だ。
特に飲食や運送、小売、店舗ビジネスはそうだ。
まず固めるべきは、「利益が出る型」である。
たとえば外食なら、
- メニューを増やす前にオペレーションを整える
- 客層を広げる前に提供の再現性を上げる
つまり、
マーケティング思考の前に、オペレーション思考を置く。
これが抜けると危ない。
売上が増えても、現場が回らない。
結果、利益が減る。
だから、長期戦略で海外やサブスクを書くなら、その前に必ず
- 標準化の深化
- マニュアル化
- 工程の整理
- 供給安定
- 品質安定
こうしたステップを入れないといけない。
ここを飛ばすと、戦略はそれっぽいが崩れる。
4.KPIは「結果」ではなく「今日動かせる数字」にする
これも本質だった。
私はときどき、
- 売上比率
- 契約率
- リピート率
- ブランド比率
といった数字を、そのままKPIに置いてしまう。
もちろん大事な数字ではある。
だが、現場が明日そこを直接動かせるかと言われると、難しい。
ここが問題だ。
KPIは、見て終わる数字では弱い。
現場が今日から動かせる数字に分解しないと意味がない。
たとえば、
「自社ブランド売上比率」を上げたいなら、
- 用途特化商品数
- 既存顧客からの相談件数
- 現場責任者との接点数
まで落とす。
「リピート率」を上げたいなら、
- 注文から提供までの時間
- 購入後のフォロー実施率
- 次回来店導線の提示率
まで落とす。
つまりKPIは、
結果指標 → 先行指標 → 行動指標
ここまで分解して初めて、現場で使える。
Yes/Noで測れるか。
担当者が明日から動けるか。
そこまで落ちていないKPIは、まだ弱い。
総括
今回あらためて分かったのは、プロっぽい戦略と、そうでない戦略の差は、知識量だけではないということだ。
差が出るのは、
- 言葉をどこまで分解できるか
- 悩みを構造まで掘れるか
- 攻める前に型を固められるか
- 数字を現場行動まで落とせるか
このあたりだ。
つまり、戦略の精度を上げるには、センスよりも、思考の解像度を上げる技術が必要なのだと思う。
だから次からは、自分にこう問いかけたい。
- それは形容詞で逃げていないか
- それは現象であって原因ではないのではないか
- その会社の儲けの式は何か
- 先に固めるべきオペレーションは何か
- 現場が明日から動ける数字まで落ちているか
戦略は、きれいな文章を書くことではない。
言葉を、構造と行動まで削り込むことだ。
生成AIに突かれるのはやはり痛い。
だが、その痛みのおかげで、少しずつ“プロの見方”に近づけている気がする。

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