KPIツリー作成のスキルアップ⑯ 行動KPIが効かなかったときの対策 ― ログの構造化+生成AIの活用方法 ―

DX・IT

KPIツリーを実際に運用してみると、売上や粗利といった数値データだけでは、ツリーが前に進まない場面が必ず出てきます。

特に多いのが、次の状態です。

  • 行動KPIは達成している
  • しかし、先行KPIがまったく動かない

例えば、

  • 行動KPI:提案件数
  • 先行KPI:受注件数

提案数は積み上がっているのに、受注が増えない。

このときに必要なのは「もっと提案しろ」ではありません。
なぜ、その行動KPIが先行KPIに効かなかったのかを、構造として説明できる状態を作ることです。


ポイントは「非数値データ」を意思決定に使うこと

ここで重要になるのが、営業ログなどの非数値データです。

ただし、自由記述のままではデータドリブン運用には使えません。
そこでまずやるべきことは一つ。

営業ログを「構造データ」にする(ここは人がやる)

最初に行うのは、ログの構造設計です。これは生成AIではなく、人が決めます。

① 状況の整理

  • 進捗中
  • 停滞

② 課題分類(超えないといけない壁)

  • 価格
  • 提案内容
  • 納期
  • 信頼
  • お客様本気度 など

③ 共通の評価軸

  • 可変性(自社の努力で変えられるか):高/中/低
  • 再現性(他案件でも同じ理由が出るか):高/中/低

④ 課題分類ごとの評価軸(※1つに絞る)

  • 価格:価格合致度(合う/要調整/合わない)
  • 提案内容:代替提案可否(可能/一部可能/不可能)
  • 信頼:実績提示可否(可能/一部可能/不可能)
  • お客様本気度:即時性(今すぐ/1年後/いつかは)
  • 納期:対応可否(可能/一部可能/不可能)

注意点は2つあります。

  • ログの入力タイミングは「案件が動いたとき」ではなく、週次で固定する(不定期入力は必ず崩れる)
  • 構造化の目的は、行動KPIを積み上げても先行KPIに効かない案件を「課題分類×評価軸」の組み合わせとして特定すること

非数値データを取り込む「入口」を作る

次に、非数値データを現実的に集める仕組みを用意します。

  • スマホアプリ
  • 実績データを吸い上げ、非数値データ(営業ログ)を入れる口を作る

入力内容は、

  • 上記の構造データ
  • 自由記述データ(音声入力も可)

ここまでが「人がやる設計」です。
この段階で、はじめて生成AIが戦力になります。


ここから生成AIの出番(ただし判断はしない)

ここから先は、生成AIが得意な領域です。
ただし、やらせるのは判断の一歩手前までです。

前提(状況)

  • 提案件数(行動KPI)は達成している
  • 受注件数(先行KPI)が増えない

評価対象の絞り込み(重要)

可変性:低の案件は、自社の行動で結果を変えられないため、行動KPI見直しの判断材料から外します。

生成AIにやらせること①:事実の集計・比較

生成AIには、次を指示します。

  • 可変性:中・高の案件のみを対象に
  • 課題分類 × 評価軸の組み合わせ別に
  • 受注率/停滞率/長期化率 を集計・比較

ここで生成AIがやっているのは、事実の整理と比較だけです。

生成AIにやらせること②:効かなかったパターンの列挙

次に、

  • 行動KPIは動いたが、先行KPIに効かないパターン

を列挙させます。

ここでも、生成AIは理由を断定しません。
あくまで「どの構造の案件が、どの結果になりやすいか」を事実ベースで並べるだけです。

生成AIにやらせること③:選択肢を「候補」として出す

そのうえで、生成AIには次の3案を出させます。

  • 継続
  • 条件変更
  • 撤退

ただし、これは判断ではありません。
「この構造の案件に対して考えられる選択肢の候補」を並べるだけです。


最後の判断は、必ず人が行う

重要なのは、ここです。

  • 生成AIは「整理・比較・候補出し」まで
  • 判断は「人」が行う

会議でやるべきことは、

  • この行動KPIを「継続」するのか
  • 条件をどう変えるのか
  • どこで「撤退」するのか

意思決定として確定することです。

行動KPIを「評価」ではなく、判断の道具に戻すということです。


まとめ

行動KPIが効かなかったときにやるべきことは、行動を増やすことでも、数字で詰めることでもありません。

非数値データを構造化し、生成AIでパターンと境界を可視化し、最後は人が判断する。

この役割分担を守れば、生成AIは「正解を出す存在」ではなく、意思決定を支える補助線として十分に戦力になります。

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