KPIツリー × 統計学活用の全体ルール(階層別整理)
今日は、KPIツリーの各階層に対し、統計学の知識がどのように活用されるかについて、わたしの考えを整理する。
本稿は「統計分析のやり方」ではなく、「KPIツリーに実データを与えるときの使い分けルール」を整理したものである。
◆KGI(結果指標)
例:営業利益/車両1台あたり利益/ROA
使える統計
- 記述統計(前年差、前年差率、分布)
- 前年差分解(要因分解)
やってはいけない
- KGI同士の相関議論
理由
- KGIは結果であり、因果を語る場所ではない
- 「なぜ悪いか」は、この階層では分からない
→ KGIでは「評価」ではなく「現状把握」に徹する。
◆主要KPI(経営レバー)
例:売上構成比/1車両あたり月次利益
使える統計
- 前年差分解
- セグメント比較(箱ひげ、平均差)
- 単回帰(仮説確認まで)
主要KPI段階の単回帰では、「相関係数 or 回帰係数の相対順位」だけを見る。
絶対値や有意性は見ない。
判断できること
- どのレバーが「効いてそうか」
限界線
- 因果の断定は不可
- あくまで「当たりをつける段階」
※同一期間・同一母集団・同一粒度で比較する。
※主要KPIそのものが複数の先行KPIで構成されており、どれに影響されているかを整理したい場合のみ単回帰を使う。
◆先行KPI(状態・因果)
例:実車率、積載率、欠勤率、指名購買率 など
ここが統計の主戦場。
使える統計
- 相関分析
- 重回帰分析
- 部分相関(残差ベース)
判断できること
- 主要KPIに独立して効いているか
- 見かけ倒しの指標かどうか
やっていい断定
- 「この先行KPIは疑う価値がある/薄い」
やってはいけない
- p値だけでの採用・棄却
- 因果と言い切ること
※先行KPIでの統計は、正解を証明するためではなく、絞るために使う。
◆行動KPI(アクションレベル)
例:提案数、訪問頻度、改善回数、教育実施数
使える統計
- 前後比較(Before / After)
- 単純トレンド
- 管理図(異常検知)
使わない方がいい
- 回帰分析
- 相関分析
理由
- 行動KPIは「仮説の操作」だから
行動KPIでは、「効いたかどうか」ではなく、「次も試す価値があるか」だけを見る。
◆補足:KPIツリーを分けるかどうか
主要KPIでセグメント別に標準偏差を見たとき、標準偏差が大きい場合は、そもそも同じKPIツリーでは難しい可能性がある。
ただし、「分ける/分けない」の二択ではなく、“共通骨格+分岐点だけ分ける”が実務解。
- KPIツリーは原則1本
- 分けても最大2系統まで
- 完全別ツリーは最後の手段
→ ここまでが全体ルール編(⑭-1)。
次回は、先行KPIにおける統計活用を、実際の手順に落として整理する。


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