KPIツリー作成のスキルアップ⑧ 〜KPIは“数字を置くほど強くなる”わけではない〜

DX・IT

KPIツリーを作り続けていると、最近はっきりしてきた感覚があります。

KPIは、定量指標を使うと強くなる。
ただし、置き方を間違えると一気に弱くなる。

今日は、その整理です。


KPIに定量指標を使うと、「強くなる」

例えば、よく出てくる言葉に「ブランド価値の向上」があります。

ただ、これ単体では、正直なところ意思決定に使いにくい。
“良い話”ではあるのですが、何をどう変えるべきかが決まりません。

ここに定量指標を当てはめると、一気に解像度が上がります。

  • 用途別 売上比率
  • 用途別 指名購買率

この2軸があると、見えるものが変わります。

  • どの用途に「ニーズ」があるのか
  • その用途で「ちゃんと指名されているのか」

単に売れているのか。
価値が伝わって選ばれているのか。
この違いは、戦略判断において致命的に重要です。


「ブランド価値」が主要KPIにならないケース

ここで、過去に扱った新正堂の例を思い出しました。

新正堂は、すでに
・ブランドが確立され
・用途(お詫び用)が市場に認知されている
会社でした。

この状態で主要KPIを「ブランド価値の向上」に置くと、判断が一段浅くなります。
この会社で経営が決めたいのは、

  • ブランドがあるかどうか

ではなく、

  • どの用途で、どれだけ「指名され続けているか」

だから、主要KPIは「用途別 指名購買率」まで踏み込んだ方が、経営判断として自然だった、という気づきです。


KPIは「上下関係」で意味を持つ

もう一つ、大事なポイントがあります。

KPIは単体ではなく、上下関係で意味を持つ。

例えば、

  • 用途別 売上比率(主要KPI)
  • 用途別 指名購買率(先行KPI)

この上下関係があることで、次の問いに答えられるようになります。

  • 売上が伸びているのは、指名されているからか?
  • それとも、たまたま需要があるだけか?

もし
・売上比率は伸びている
・指名購買率は伸びていない
なら、それは「強いブランド」ではありません。

逆に
・指名購買率は高い
・売上比率がまだ小さい
なら、「育てる価値のある芽」だと判断できます。

このロジックが頭に描けると、KPIを上下に置いた意義が一気にクリアになります。


主要KPIは「抽象→具体」に進化する

ここは前回の気付きの繰り返しになりますね。

主要KPIは固定ではない。事業フェーズに応じて、降りていくもの。

例えば、

  • 事業初期:主要KPI=ブランド価値の向上(定性)
  • 事業が当たり始めた後:主要KPI=用途別 売上比率(結果)
  • さらに踏み込むと:主要KPI=用途別 指名購買率(強さ)

最初は抽象的でいい。
でも事業が進むにつれて、「もう一段、具体で決めにいく」。
これをしないと、KPIツリーは成長を止めます。


まとめ

今日の気づきをまとめると、こうなります。

  • KPIは、定量指標を使うと強くなる
  • ただし、上下関係がなければ意味がない
  • 主要KPIは、事業フェーズに応じて「降りていく」

KPIツリーは、数字を並べる作業ではなく、
「今、経営がどこまで踏み込んで判断したいか」
を表現する構造図。

また一段、KPIツリーの見え方が変わりました。修行は、まだ続きます。

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