5月の今くらいの季節が、昔から好きだ。
外に出た瞬間の、少し湿った萌芽の匂い。
暑すぎず、寒すぎず、ちょうどいい気温。
柔らかい風。
朝も気持ちいいし、夜も気持ちいい。
「生き返る感じ」というのが近いのかもしれない。
私は昔から、この季節になると、少し前向きになれた。
仕事も、「まあ頑張るか」と思えた。
4月の慌ただしさが少し落ち着き、夏ほど疲れてもいない。
気持ちよく走れる季節。
そんな感覚があった。
でも今年は、少し違う
でも今年は、少し違う。
季節は間違いなく気持ちいい。
好きな空気だ。
なのに、自分の気持ちが、そこについていっていない。
どこか、ネガティブだ。
なんとなく、心が重い。
これに少し違和感がある。
「自分、5月好きだったよな」と。
昔なら、この風だけで、少し元気になれていた気がする。
でも今は、素直に気持ちよさを味わいきれない。
不安があると、季節の心地よさも入りにくい
多分、いろいろ不安要素があるからだと思う。
仕事。
将来。
独立。
評価。
人間関係。
年齢。
いろいろなものが、頭のどこかに居座っている。
だから、せっかく気持ちいい季節なのに、心が100%そちらへ向かない。
少しもったいないな、とも思う。
ただ一方で、「そりゃそうだよな」とも思う。
人間、心に余裕がない時は、景色を楽しむ力も落ちる。
季節そのものは変わっていない。
変わったのは、自分の状態なのだと思う。
気づけているだけ、まだ大丈夫なのかもしれない
でも逆に言えば、今こうやって、「気持ちいい季節なのに、それを感じきれない自分」に気づけているだけ、まだ大丈夫なのかもしれない。
本当に余裕がなくなると、季節のことなんて、考えもしなくなる。
だから今は、無理にポジティブになろうとは思わない。
ただ、この気持ちいい風を感じながら、
「また素直にこの季節を楽しめる状態に戻りたいな」
とは思っている。

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