スポーツ用品店は、正直きつい。
量販店との価格競争、人口減少、部活の縮小。
「頑張っても報われない」業界の代表格と言っていい。
そんな中、
野球に“振り切る”ことで過去最高売上6億円を達成した店がある。
それが、「超野球専門店CV」だ。
量販店任せ、右肩下がり、そして“無視される職場”
1973年創業、従業員22人。
社長就任当初の状況は、かなり厳しかった。
- 量販店が主導する商流
- 業績は右肩下がり
- 地域のスポーツ店は次々に廃業
- 社内には「どうせ無理だよね」という空気
- 従業員からも相手にされない
多くの経営者が、
「価格を下げる」「間口を広げる」方向に逃げてしまう局面だ。
しかし社長は、真逆の判断を下した。
一念発起。「全部やる」ではなく「野球だけやる」
社長が選んだのは、野球への完全特化だった。
- 野球に事業を絞る
- 値引きは2割引から1割引へ
- 価格で選ぶ客層をあえて捨てる
- 自らスポーツマネジメントを学ぶ
- 従業員は元高校球児で揃える
「売れるものを並べる店」ではなく、
「野球を分かっている人にしかできない店」へ。
実はこの判断、構造的に非常に合理的だ。
- 野球は客単価が高い
- 用具の相性が成果に直結する
- 知識と経験がそのまま価値になる
つまり、価格競争になりにくい競技なのである。
売っているのは道具ではなく「野球人生」
CVの強みは、単なる品揃えではない。
- バット900本以上
- グラブ1500個以上
- 修理・加工対応
- オーダーメイド
- 野球スクール
- バットのサブスク
しかし本質は別にある。
従業員全員が元高校球児。
だから、野球の悩みを「自分ごと」で語れる。
結果として、
- プロ輩出実績というブランド
- 「ここで相談すれば間違いない」という信頼
- 顧客が顧客を呼ぶ構造
が自然に生まれた。
入社2年で黒字化。
2023年、過去最高売上6億円を達成する。
中小企業診断士として見る、この会社の本当の強さ
この会社は、スポーツ小売の薄利構造を明確に断ち切っている。
① 競技特化 × 高単価 × 知識集約
「誰でも売れる商品」を捨て、
「人にしか出せない価値」に寄せた。
② 顧客を“選んだ”
価格で選ぶ客ではなく、
価値を理解する客に絞った。
③ ノウハウが売上を生む構造
修理、相談、スクール、サブスク。
モノ売りから関係性売りへの転換だ。
見えている課題もはっきりしている
一方で、診断士の視点では次の課題が見える。
- 知識・技術が人に依存している
- 育成に時間がかかる
- 国内野球人口は縮小傾向
好調だからこそ、
仕組み化と次の柱づくりが不可欠になる。
診断士としての打ち手(短期・中期・長期)
短期:BtoC × ブランドの見える化
プロ輩出の背景、従業員一人ひとりの野球人生、
修理・提案の判断基準を言語化する。
属人化している工程は、
できるところから分解・マニュアル化する。
中期:BtoBという第二の柱
社会人チームやプロチーム向けに、
相談・カスタマイズ・サブスク型支援を展開。
インバウンド向け野球教室やイベントも有効だ。
長期:海外は「売る」より「想起される」
いきなり出店しない。
国内チーム経由、海外イベント帯同などで認知を積む。
KPIツリー(構造)
KGI:営業利益率
- 売上(法人別、客単価、客数)
- 粗利率(商品別、顧客別、サブスク)
- リピート率
- サブスク率・継続率
- インバウンドイベント参加数
おわりに
超野球専門店CVは、
「野球が好きな店」ではない。
野球に人生を賭けてきた人たちの価値を、
きちんとお金に変える仕組みを作った店 である。
業界が縮むとき、
「全部やる」より「一点突破」が強い。

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