一度は「地ビールブーム」に乗って売れた。しかしその後、「地ビールはクセがある」「中小企業のビールはイマイチ」と評価され、多くの企業が撤退していった時代。それでも踏みとどまった会社があります。
それが、クラフトビールメーカー「コエド(COEDO)」です。
なぜ彼らだけが生き残れたのか?
そこには、「諦めない経営者の決意」と「クラフトビールの可能性を信じた戦略」がありました。
1. 経営者の決意:「地ビール=ダメ」の時代でも、信念を貫いた
地ビールブーム後、世間は冷たかった。
- 「地ビールってクセが強いよね」
- 「結局、大手の方が安くてうまい」
- 「中小企業のビールは信用できない」
そんな声が当たり前に飛び交う中、多くの企業が撤退。しかしコエドの社長は、こう考えました。
「クラフトビールは“組み合わせ”で無限の可能性がある。諦めるのは早い」
この信念が、後に世界で評価されるブランドをつくる原動力になりました。
2. 強み:世界が認めた「醸造技術」と「地域性」
- ホップの個性を最大限引き出す醸造技術
- 国際的な品評会での受賞実績
- 「小江戸(川越)」という歴史資産とブランド性
「地ビール」ではなく「世界品質のクラフトビール」へ。
コエドは、価値の定義そのものを変えました。
3. 伝える力:工場見学で“できたて”を体感させる
コエドは、ただ商品を並べるだけではなく
- 醸造所の工場見学を実施
- 作りたてのビールをその場で提供
「この美味しさは大手にはない!」とファンを獲得。
体験による共感型マーケティングでブランド価値を高めました。
4. 診断士としての視点:さらに伸びるための戦略提案
① 伝える(SNS・データ・物語)
- クラフトビールの歴史・哲学・地域性を発信
- 成分分析や製法の「科学的価値」を可視化
- ファン限定サービス・共同開発で愛着を醸成
- 顧客データを分析し、販促や開発に活かす(DX)
② 川下へ(高利益モデルの構築)
- サブスク(季節限定ビールを毎月お届け)
- 予約販売・数量限定販売
- ウェブでの直販(粗利UP & 顧客データ獲得)
③ 絞る(目的別ビール)
- 「仕事終わりに安らぐビール」
- 「休日のご褒美ビール」
- 「夜にゆっくり味わう大人のビール」
→「味×シーン」で選ばれるブランドへ
④ コラボで世界観を拡張
- カフェ・スイーツ(デザートペアリング)
- アウトドア・キャンプ(焚き火ビール)
- サウナ(整いビール)
- シェフ・飲食店(料理とのペアリング)
- 農家×シェフ×ビール×体験イベント
→「生産者の畑見学→収穫→調理→ビール→物語」
この一連の体験をコンテンツ化すれば、最強のブランドストーリーになります。
⑤ 組織改革・人材育成(再現性のある品質へ)
- 醸造プロセスのマニュアル化
- 製造工程のデータ化で再現性を高める
- DXによる品質・効率の両立
まとめ:「クラフトビール」は商品ではなく、“文化”をつくる装置
コエドの強さは、ビールを売っているのではなく
「地域」「文化」「物語」「体験」をセットで届けていること。
だからファンは離れず、共感し、口コミし、次の顧客を連れてきます。
経営者が信念を持ち、
技術で差別化し、
伝える力でファンをつくる。
まさに「経営がうまくいく会社」の教科書のような事例です。
診断士としてのひと言
クラフトビールの世界には、まだまだ伸びしろがあります。
特に、
- データ×発信(DX)
- 体験×物語(CX)
- 継続×関係性(LTV)
この3つを“設計”すれば、中小企業でもブランドはつくれる。
コエドの取り組みは、その可能性を証明しています。
あなたの会社でも、「自社の強み×伝える仕組み×顧客との関係性」を組み合わせれば、必ず道は開けます。
まずは「小さな一歩」から始めてみましょう!


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