フェムテックという言葉は広まりつつありますが、「本当に売れる仕組み」を作れている企業はまだ多くありません。そんな中、たった2名ながら強烈な存在感を放つベンチャーがあります。それが、フェムテック事業者のフェルマータです。
■ タンザニア移住、医療への関心──ゼロから始まった挑戦
創業者は学生時代にタンザニアへ移住。現地の保健医療の現実を目の当たりにし、「10年後の未来を変えられる挑戦」を志しました。公衆衛生学を学び、医療・看護領域への強い興味を原点にフェムテック事業を開始。強い信念と社会課題への視座が事業の軸になっています。
■ 人は集まるのに売れない──“伝え方の壁”
創業当初、イベントを開けば人は集まるのに商品が売れない。典型的なスタートアップの壁にぶつかります。そこで経営者は思い切った方向転換を行いました。
「女性の悩みを解決するフェムテック」ではなく、
「フェムテック導入で企業の人材不足を解消する」
課題の“入り口”を女性から企業に切り替えたことで、導入メリットが明確化。企業側が動きやすくなり、状況が大きく改善しました。
■ フェルマータの強みは“信念 × 行動力 × 専門性”
- 起業家の行動力と強い信念
- アパレル企業とのネットワーク
- 海外仕入先・メーカーとの良好な関係
- 公衆衛生学に基づく専門知識
単なる「フェムテックの輸入販売」ではなく、社会課題への科学的アプローチを持つ稀有な存在です。
■ 診断士としての視点:フェルマータの“次の一手”
① 伝える:SNSで“課題×共感”のストーリーを構築
- 月経・妊活・更年期のあるある問題
- 商品で解決できる課題の紹介
- 使い方・注意点(薬機法に留意)
- ユーザーの声・ストーリー紹介
② 海外へ:越境ECでグローバル市場に挑戦
フェムテックは海外需要が強いため、越境ECは仕入れ先開拓・顧客獲得の双方で有効です。
③ 広げる:継続支援型のサブスクモデル
- 妊活・月経・更年期ケアの定期BOX
- 海外フェムテック商品のキュレーション便
- 医師監修の月額動画講座
- シニア向けフェムテック支援サービス
④ 自社商品:OEM→自社ブランドで粗利を改善
OEMメーカーとの協業により、自社ブランド商品化が可能。ブランド性と採算性が大幅に向上します。
⑤ IT化:オンライン診断×レコメンドで最適提案
- 妊活ステージ診断
- 月経タイプ診断
- 更年期セルフチェック
- 診断結果に基づくおすすめ商品の自動表示
⑥ コラボ:医療機関・行政との連携で“信頼”を獲得
- 中学・高校への月経教育セット提供
- 自治体の妊活支援事業への参加
- 医師監修動画コンテンツの制作
- クリニック×フェムテックの共同イベント
■ まとめ:課題の“入り口”を変えるだけで、事業は動き出す
フェルマータの成功要因は、商品でも資金でもなく、社会課題への向き合い方の「角度」を変えたことです。
「女性の問題を解決」から「企業の人材不足を解消」へ。
この視点転換により、市場が一気に動き始めました。これは多くの企業に通じる本質です。
課題を変える、伝え方を変える、見せ方を変える。
たったそれだけで、ビジネスは大きく前進します。
フェルマータはその象徴的な成功例と言えるでしょう。


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