同じものを作っているように見えても、企業がどこで勝負するかで、取れる利益はまったく違います。
私が多くの企業事例を見て分かったのは、次のシンプルな構造です。
- 製造業は川下に行くと強くなる
- 小売は川上に行くと差別化される
- 卸は川上・川下の両取りが可能
そして実際、日本の成功企業の多くが、この「逆流戦略」を実践しています。 ここでは、あなたが挙げてくれた膨大な事例を元に、「なぜ川上/川下が重要なのか?」をまとめてみました。
1. 製造業は「川下に行く」と一気に報われる
製造業の弱点は、BtoB に依存し、価値が伝わりにくいこと。 だからこそ、最終顧客側へ半歩踏み出すだけで世界が変わります。
展示会・百貨店・海外が一気に効く
以下の企業は、川下に踏み出して成功した例です。
- 飛騨産業(家具)…展示会で川下へ
- 丸山製麺…海外展開で川下へ
- パティスリーソラカ…海外進出
- 渡辺金属工業(バケツ)…展示会・海外展開
- 藤田金属(鉄フライパン)…海外見本市出展
- DG TAKANO(水栓器具)…デザインアワード受賞&中東へ輸出
- 日吉屋(和傘)…海外展開
- ワイ・エス・エム(照明)…ホテル・レストランに納品
展示会や百貨店に出るだけで、「知られていない良い技術」が一気に可視化されます。
2. BtoB から BtoC へ──“半歩のずらし”が大きな差に
自社ブランドを始めたり、直営店を作る企業も増えています。
- 白河だるま…百貨店出店、海外展開
- 三洋産業(コーヒー器具)…BtoCブランドを開発
- 創喜(靴下工場)…工場内に直営店、Webカスタム注文
- 日興エボナイト…文具ファン向け直売
- 小堀加工所…マグカップ印刷で BtoCへ
技術は変えずに、市場だけ変えて利益率を高める。 これが“川下戦略”の本質です。
3. 卸は「川上・川下の両方」を取れる黄金ポジション
卸売業は本来、川上と川下の真ん中にいる存在。 だからこそ、両側に橋をかけられます。
- 大町(食品卸)…直営店、ネット通販=川下
- 杉本商店(しいたけ)…海外展開
- 山信(食品製造販売)…デザイン変更で百貨店ルート獲得
卸は「ただの中継」から脱却して、 ・企画 ・ブランディング ・PB ・直営店 を持つことで収益性が3倍になるケースも珍しくありません。
4. 小売は「川上」に踏み込むほどファンが増える
小売業は、仕入れで差がつきます。 だからこそ川上=産地・職人・メーカーに近づくと強くなる。
- 松山油脂…自社企画・直営店・サウナ展開
- ケンズカフェ…素材起点で川上シフト
- クリオロ…生産者の顔が見えるスイーツブランドへ
- 新正堂…原材料のこだわりを“語れる”店へ
- 繁田園(日本茶)…海外土産として川上+川下を両取り
仕入れ先を変えることは、世界観を変えること。 だから川上に行った小売は強くなるのです。
5. 全ての事例に共通していたたった1つのこと
あなたが集めてくれた70社以上の事例を読み込むと、 ある“共通点”に気付きます。
それは、「市場を一段ずらす」こと。
- 製造→小売(川下)
- 小売→企画・生産(川上)
- 卸→PB&直営店(両方)
この「半歩のずらし」が、 企業価値と利益率を劇的に高めているのです。
6. では、あなたの会社はどちらへ踏み出すべきか?
ポイントはとてもシンプルです。
- 製造業なら:展示会・直販・自社ブランドで川下へ
- 小売業なら:産地・職人・メーカーと組んで川上へ
- 卸なら:PBと直営店で両方へ
川上か川下かを“意識して選ぶ”だけで、 企業の軸が一気に明確になります。
これからの時代、勝つ会社はこういう会社です。


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