1945年創業の練り物メーカー・塚田水産。
長年売上はあるのに、なぜか利益が出ない――そんな“どんぶり勘定型経営”に苦しんでいました。
社長はこの課題に正面から向き合い、リストラの断行・仕入れ先の見直し・定年制度の導入・助成金の活用など、経営の根本から立て直しを開始。
その結果、大幅なコスト削減を実現し、利益が出る体質へと変化しました。
老舗ならではの“強さ”
- 東京の一等地に店舗を構えるブランド力
- 農林水産大臣賞を受賞する高い製造技術
- 40種類以上の豊富な練り物ラインナップ
- 昼は練り物販売、夜は立ち飲みおでん屋という二毛作モデル
- 百貨店・ECサイトでも販売
特に「老舗×ファンの存在」は強力な武器であり、新規参入では真似できない大きな資産です。
社員を“共創パートナー”に変えた組織改革
塚田水産の面白い点は、単なるコスト削減ではなく、社員を信頼して任せたことです。
- 新商品のアイデアを社員が考案
- SNSやイベントでお客様と直接つながる
- お客様の声を商品に反映
「現場を信じる」ことで、社員の主体性が高まり、商品力もファンも増えていきました。
中小企業の学びポイント
- 売上より“利益構造”を疑え
- まずは数字を見える化する勇気
- コスト削減は「仕入れ構造」から始める
- 古い仕組み(定年など)を導入することも攻めの改革になり得る
- 社員を“作業者”ではなく“共創パートナー”にする
診断士としての視点:次の成長戦略はここだ
1. 伝える(ファン共創・ブランド強化)
- ファンとの共同開発
- 会員限定イベントや工場見学
- ライブ配信で裏側を発信
2. 川下へ(届け方の再設計)
- 定期便サブスク(おでん・季節の詰め合わせ)
- 海外向けサイトで「和食×発酵×健康」を発信
- 父の日・お歳暮・ギフト用商品
3. セット化・体験化
- おでんスターターセット
- “東京の味”ベスト5詰め合わせ
- レシピ付き体験キット
4. 絞る(ターゲット特化)
- 高タンパク・低脂質の健康志向商品
- 高齢者・子ども向けのやわらか食
- 介護施設・病院向け業務用商品
実は「練り物=健康食」。
タンパク質が豊富で消化しやすく低脂質。
この“再定義”ができれば、大きなブルーオーシャンが広がっています。
まとめ
塚田水産は「老舗だからこそ変革できた」会社です。
- 数字に向き合う覚悟
- 仕組みの再構築
- 社員とファンを信頼する姿勢
中小企業が生き残るためのヒントが詰まった好事例だと感じます。
これからの塚田水産がどのように進化していくのか、非常に楽しみです。


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