エレベーター関連会社 1933年創業/従業員50人
かつて大手メーカーとの取引で成長していた島田電機製作所。
しかしバブル崩壊で状況は一変。依存体質と閉じた取引構造が仇となり、業績は悪化しました。
当時の経営者は、「井の中の蛙、大海を知らず」という先代の言葉を胸に、抜本的な経営改革に着手します。
年功序列を廃止し成果主義へ転換。結果として、2年間で社員の3分の2が退職するという痛みを伴う決断でした。
それでも、同社は「本気で変わる」道を選んだのです。
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🔸強み:一貫体制が生む、国内シェア6割の実力
島田電機製作所の強みは、建物コンセプトに合わせたオーダーメイド製品を生み出せること。
設計からアクリル加工、板金、組立、検査までをワンストップ体制で対応しています。
特に注目すべきは、エレベーターの押しボタンや表示灯における透明度とツヤを出す職人技。
この技術力が国内シェア6割という圧倒的地位を支えています。
中国市場にも進出し、建設ラッシュを追い風に事業を拡大。
まさに「押しボタン」で世界に挑む会社です。
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🔸組織改革:営業と製造の壁を壊す
改革は製品だけでなく、社内の構造にも及びました。
営業と生産を一つのフロアに集約し、壁を取り払うことで、情報共有とスピード感が格段に向上。
社員が互いの顔を見ながら仕事をする“開かれた現場”が、ものづくりの一体感を生み出しました。
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🔸伝える力:ファンづくりへの挑戦
島田電機製作所は「伝える経営」にも積極的です。
工場見学を開放し、訪問者にはエレベーターのボタン早押し競争やキーホルダープレゼントなどの体験を提供。
「1人でも多く、自社のファンを作りたい」という思いが行動に現れています。
この「開かれた姿勢」こそ、BtoB企業に欠けがちな「共感」を生み出していると言えるでしょう。
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🔸診断士としてのコメント
この会社の今後の可能性は、データ活用×空間価値の創出にあります。
たとえば、
• 顔認証による自動フロア呼び出し機能(入退館システムとの連携必要。既にありそうだが)
• 人流データを活かした建設会社・商業施設への付加価値提供(これ、面白そう)
• 高級ホテルや高級オフィスでの空間演出アドバイザー化(これは既にやっていそう)
さらに面白いのは、「ボタンを押す行為そのものを“体験価値”にする発想」です。
たとえば、顔認識で感情を読み取り、その人の気分に合わせて光の色を変える──
そんな「心を前向きにするインタラクティブなボタン」がインテリアとしてあれば、島田電機製作所は単なる部品メーカーではなく、「人と空間をつなぐ体験創造企業」として知名度が大きく上がるのではないかと感じました。


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