企業が成長するための出発点は、お客様の「不」― 不満・不便・不安 ― に向き合うことだと感じます。
価格競争や効率化に走るのではなく、「お客様が今どんな悩みを抱えているか」に真摯に応えることが、新しい価値を生み出す第一歩です。
いくつかですが、事例を上げます。
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🔸事例1:自分に合った紳士服を手ごろに(リード)
オーダーメイドは高価で敷居が高い。既製服はサイズが合わない。
この「不」を解消するために、手ごろな価格で自分に合った紳士服を提供する仕組みを作り上げた企業があります。お客様の小さな違和感をすくい上げる視点が、支持を集める原動力になっています。
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🔸事例2:客の声を商品開発に活かす(ニッコー・飯田屋)
• ニッコー:細かなニーズを拾い、自社の新商品開発に反映。
• 飯田屋:来店客の声をノートに記録し、調理道具の改良や仕入れに活かす。
「お客様の声は宝物」と言いますが、単なるアンケートで終わらせず、日々の現場の声を継続的に商品に落とし込む習慣が、長期的な成長につながっています。
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🔸事例3:シニア層の家事負担を軽減(ピンピンきらり)
高齢者にとって「掃除や片付けが大変」という不満は大きなテーマ。
ここに応えたのが、高い清掃技術を持つサービス。単なる清掃業ではなく、「暮らしを支える存在」としてのポジションを確立しています。
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🔸事例4:色の抜けない塩素を求める声(島田商店)
「どうしても色落ちしてしまう」というお客様の悩み。
この不満に向き合い、色抜けの少ない塩素を追求。業界の常識を覆す商品を生み出しています。
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🔸事例5:軽量化で安全性と利便性を両立(花岡車両)
顧客から寄せられた「重くて扱いにくい」という声。
この不便を解消するために、軽量化を実現した車両を開発。結果として、利用者にとっても企業にとっても新しい価値を提供できました。
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🔸診断士としてのまとめ
これらの事例から学べるのは、経営改善のヒントはすべて「お客様の不」に隠れているということです。
• 不満 → 改善商品へ
• 不便 → サービス強化へ
• 不安 → 安心価値の提供へ
中小企業が新しい市場を切り開くには、最新技術や大資本よりも、お客様に寄り添う姿勢こそが最大の武器になるのだと思います。


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