1884年創業、従業員5人の下駄専門店「大和屋」。
経営者が掲げるコンセプトは「文化をつなぐ店」。その実現のために選んだ戦略は、できないことはやらず、できることを組み合わせて最大化する(最適解を最大化する)というシンプルかつ力強いポリシーでした。
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🔸下駄専門に絞る勇気
大和屋はサンダルやシューズには手を出さず、あえて 下駄一本に絞る という決断をしました。
一般的に「多角化すればリスクが減る」と考えがちですが、逆に専門性を高めることで独自のポジションを築いたのです。
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🔸強みは職人との関係性と専門ノウハウ(推察)
大和屋の強みは、片染めの作家や職人との深いつながり、そして社長自身の行動力と下駄に対する専門的な知識です。
お客様からは、素材は一流で割れにくく、デザインも独特。履き心地がやさしく、身体が整う感覚を得られると評判です。これが重要なWHATです。
つまり、「履く道具」から「体験価値」へと進化させているのです。
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🔸自社商品の魅力と体験価値
提供するのはオーダーメイドの下駄。
「鼻緒と台の組み合わせを自分で選ぶ楽しさ」に加えて、工芸品としての美しさや、リフレッシュ効果まで提供しています。
大和屋の下駄は、まさに 文化・ファッション・健康を融合した商品 です。
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🔸発信力と顧客体験
大和屋は、年20回にわたる工芸品展示イベントやワークショップを実施。さらにSNSでの情報発信にも力を入れています。
顧客が「文化を体験する場」に参加できる仕組みが、ブランドのファンづくりに直結しています。
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🔸診断士としてのコメント
私の視点から見ると、次のような展開がさらに可能性を広げると思います。
1. レンタルサービスの導入
着物レンタルと組み合わせれば、観光需要に対応できる。
2. ファッションデザイナーとのコラボ
現代的なデザインで、下駄を日常使いするシーンを創出。
3. 健康訴求
「体が整う下駄」として、仕事帰りのリフレッシュアイテムに。ここ、WHATでも触れたが、日常使いとして、健康になれる履き物「健康下駄」として売り出せないか。
4. 海外展開
文化性の高い商材だからこそ、海外需要は大きい。海外向けECや現地イベントとの連携は面白い。
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🔸中小企業への学び
大和屋の事例から得られる教訓は、「絞る勇気が強みを際立たせる」 ということです。
多角化よりも専門性。老舗であっても「下駄一本にこだわる」ことで、文化と市場をつなぐ新しい可能性を見出しています。


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