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🔸プレッシャーと失敗からの転換
1948年創業の産業機械メーカー 筑水キャリコム。
3代目社長は「会社を潰すまい」という強いプレッシャーを背負い、アメリカ進出に挑みました。ところが結果は芳しくなく、「安ければ売れる」という売り手都合の戦略は裏目に出てしまいます。
その挫折を経て見えてきたのが、顧客目線での発想でした。現場のニーズを探る中で、クローラー型運搬車の需要に気づき、製品開発の方向性を大きく転換します。
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🔸「不」を拾い上げる仕組み
筑水キャリコムの強みは、最新設備による高い加工技術だけではありません。
ユニークなのは、顧客の「不」=不満や不便さを拾い上げる仕組みです。
試乗してもらった後にヒアリングを重視し、「こんなところが不便だ」という声を直接製品改善につなげるのです。
結果として生まれた製品群は、「ピンクレディー」「まさお」などユニークなネーミングで知られ、ブランドとしても存在感を放っています。
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🔸海外売上6割、その先にある課題
売上の6割を海外市場が占め、代理店経由での販売がメインらしいです。
今後は 直販体制の構築 が成長のカギになるかもしれません。営業管理を効率化するためにSFA(営業支援システム)の導入や、顧客データを活かした販売戦略の強化もキーワードかもしれません。
また、人材の獲得・育成 は大きな課題。ニッチ市場で強みを持つ企業だからこそ、「面白い仕事ができる会社」として若手に訴求していく必要がありそうです。
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そのために以下の施策も考えられそうです。
• 公式WebサイトやECサイトを整備(多言語対応含む)
• SNSやYouTubeで製品の使い方・事例を発信
• 展示会やセミナーで顧客接点を増やし、名刺・リードをCRMに蓄積
• 口コミや既存顧客の紹介制度を強化
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🔸診断士としてのアドバイス
上でも述べましたが、補足すると今後の成長戦略としては、
• IoTを活用した故障予兆検知やリモートメンテナンス
• レンタルやサブスク型サービスによる収益モデルの多様化
• 他社製品ユーザーとの マッチング型サービス(作業効率化のための周辺機器連携など)
• 顧客参加型の製品開発(改善アイデアを投稿できる仕組みづくり)
といった取り組みも考えられます。
すでに取り組んでいる部分もあるかもしれませんが、強みである「顧客の声を拾う力」をさらに拡張できれば、海外市場でも一層差別化が図れるでしょう。
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筑水キャリコムの事例は、「売り手都合」から「顧客目線」への転換がいかに重要かを示しています。
顧客の「ぼやき」を改善の種に変える仕組みは、中小企業にとっても大きな学びになるはずです。


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