【事例】両国屋に学ぶ ― 価格競争から「付加価値経営」へ転換した豆腐店の挑戦

成功事例

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🔸価格競争に陥った老舗豆腐店

1949年創業の豆腐店 両国屋

長年、売上の約8割をスーパーに依存し、消費者と直接顔を合わせる機会はほとんどありませんでした。

結果として待ち受けていたのは、熾烈な 価格競争。廃業も視野に入れるほど追い詰められました。

そこで経営者は立ち止まり、消費者の声をアンケートで集めます。すると「国産大豆を使った豆腐が欲しい」というニーズが明確に浮かび上がったのです。この声をきっかけに、両国屋は「付加価値を高める」方向へ大きく舵を切りました

🔸強みは「昔ながらの豆腐づくり」と「信頼できる素材」

両国屋の武器は、長野県産の大豆を用いた昔ながらの豆腐づくり

シンプルながらも確かな品質が支持され、豆腐・油揚げ・厚揚げ・豆乳といった商品は、地域で着実に愛されてきました。

さらに、単に「安さ」ではなく「安全・安心・国産」の価値を前面に押し出したことが、競争力につながりました。

🔸デジタル化(DX化)で50時間を創出

両国屋の面白いところは、伝統を守る一方で バックヤードのデジタル化 にも積極的だった点です。

仕込み量の計算や在庫・請求業務をデジタル化することで、毎月なんと 50時間もの削減 に成功。

浮いた時間を「お客様との対話」や「新商品開発」に回せるようになりました。

デジタル化=効率化だけでなく、価値創造のための時間を生み出す手段になっているのが学びです。

🔸中小企業が学べること

この事例から中小企業が学べるのは、

価格競争に巻き込まれたら「付加価値」で勝負する勇気、そしてそれを伝えること!

消費者の声を聞き、ニーズを形にする姿勢

デジタル化はコスト削減で終わらせず、新しい時間を作り出すもの

という3つの視点です。

🔸診断士としてのアドバイス

両国屋がさらに伸びるには、以下の方向性が考えられます。

• 「伝える力」の強化

 豆腐作りの体験会や見学会は既に実施しているので、SNSで「豆腐の栄養価」「豆腐作りの歴史」などを発信すれば、より幅広いファンがつくはず。

利益率の高いチャネル拡大

 百貨店や高級飲食店への展開はブランド価値向上につながる。

新しい商品コンセプト

 「豆腐=食材」から「美と健康のブランド」へ。例えば、豆乳のサブスクやスキンケアを意識した商品も面白いでしょう。

両国屋は「価格競争の波にのまれそうになった老舗豆腐店」が、消費者の声とデジタル化を武器に再成長を遂げた好例です。

伝統を守りながらも柔軟に変革していく姿勢は、どんな業界の中小企業にとっても大きなヒントになるはずと考えました。

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