最近は、生成AIを使えば分析レポートもグラフも一瞬で作れる時代になりました。
でも実際の現場では、「AIに丸投げ」した分析では成果につながらないケースをよく見ます。
なぜでしょうか?
答えはシンプルで、AIは数字を計算することは得意でも、ビジネスの目的を理解して意思決定することはできないからとわたしは考えます。
今回は、生成AI時代においても人間が担うべき「データ分析の3本柱」をご紹介します。
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柱1:目的を明確にする(仮説を立てる力)
データ分析の最初の一歩は、「何を解決したいのか」を明確にすることです。
ここを曖昧にしたままデータを触り始めると、「この指標も気になる」「別の分析も必要かも」と、いつまでも答えが出ない“分析迷子”に陥ります。
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例えば、運送業で「利益率が低い」という課題があるとします。
このとき、目的は「利益率を改善する」ですが、さらに仮説を立てます:
• 積載率が低いのでは?
• 実車率が悪いのでは?
• 荷主別単価に偏りがあるのでは?
こうした仮説があれば、分析対象をコンパクトに絞り込め、ムダなデータ探索を避けられます。
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柱2:データを読み解く力(示唆を引き出す力)
AIは相関や回帰を計算するのは得意ですが、
「この結果が業務的に何を意味するか」を解釈するのは人間の役割です。
例えば、物流データを分析した結果:
• 積載率と実車率に強い相関がある
• 曜日別で売上に大きなばらつきがある
• 上位3荷主の依存度が高く利益が偏っている
これらの結果を見て「だから何が起きているんだな」を考えることが重要です。
数字を眺めるだけで終わらせず、業務的に何が起きているかを考えることです。
ここは業務知識がある人の方が確かに優位ではありますが、必須ではないとも思ってます。
業務知識がない場合でも、「データから業務を逆算する」と言う発想があれば大丈夫です!
例えば、
• 業務知識がある人
→ 「積載率が低いから実車率が悪いんだな」とすぐに分かる
• 業務知識が浅い人
→ データを可視化し、相関を確認し、仮説を立てればOK。例えば「積載率が低い車両は、そもそも走る意味が薄いのかも?」とデータから想像すればよいです
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柱3:ビジネスを動かす力(アクション設計力)
最後の柱は、分析結果を実際の行動につなげる力です。
例えば:
• 積載率が低い → コース設計を見直す
• 荷主別利益率が低い → 契約条件を再交渉する
• 稼働率が下がっている → シフト組みを最適化する
分析のゴールは「知ること」ではなく「動かすこと」です。
ここを意識しないと、「面白いデータが取れたね」で終わる危険があります。
この3本柱を意識することで、AIを使いこなしながら、データ分析をビジネスの武器に変えられるのではないかと考えます。
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