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メディアで見た企業紹介です。
「トイレに漆加工を施した高級ブランド製品」
最初にこの話を聞いたとき、正直「なぜトイレなのか?」と思いました。
しかし、詳しく調べてみると、和の美意識を空間全体で体験させるという壮大なビジョンが見えてきます。
診断士として考えると、この事例には高価格戦略とブランド発信のヒントが多く含まれています。
🔸 借金返済から始まったブランド再構築
さかもとは1936年創業の老舗メーカー。
元々は配管部品を作る会社でしたが、多額の借金返済のため土地売却やリストラを断行。
その過程で、「持たざる経営」へ舵を切りました。
モノよりビジョンを重視し、企業の存在意義を再定義したのです。
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🔸 「和の伝道師」としてのブランド哲学
現社長は、「和の美意識を世界に伝える」という強い信念を持っています。
その象徴が、高級ブランドトイレ「ビドコロ」。
漆加工を施したこのトイレは、一般的なトイレの約3倍の価格ですが、
「人の記憶に残る空間をつくる」ことを目的に開発されました。
さらに、陶芸家などとコラボレーションし、単なる部品メーカーではなく、
空間デザインのパートナーとしての立ち位置を確立しています。
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🔸 診断士視点:なぜトイレに限定するのか?
率直に言えば、ここには戦略の余白があります。
• 高級トイレ市場はニッチ。顧客層は富裕層・ホテル・ラグジュアリー住宅など限られる
• 「和の空間」を訴求するなら、トイレ単体より空間全体のプロデュースの方が価値を高めやすい
• 海外展開を視野に入れると、日本的素材×職人技の融合は食器・照明・家具などに波及可能
特に、奈良や京都などの伝統工芸と組み合わせることで、
「和のラグジュアリーブランド」として広がる可能性が大きいと感じます。
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🔸 今後の戦略アイデア(診断士としての提案)
① 和の高級空間プロデュース
• トイレ単体ではなく「和の空間」ごと提案
• 旅館・ホテル・高級住宅市場をターゲットにパッケージ化
② 海外展開の可能性
• 高級ホテルチェーンや別荘地への導入
• 「“Wabi-Sabi”דLuxury”」というコンセプトでブランディング
• 富裕層市場向けに「オーダーメイドトイレ」も検討価値あり
③ SNS・Webを活用したブランド発信
• 漆加工や陶芸家コラボなど、制作過程のストーリーを可視化
• 海外ユーザー向けに英語サイトやInstagramでの発信も強化
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「さかもと」の挑戦は、一見すると高級トイレメーカーですが、
本質は「和の価値を体験するブランド」だと感じます。
職人技術・日本素材・空間デザインを掛け合わせることで、
世界市場でも存在感を発揮できる可能性は十分にあります。
診断士としても、単なる製品開発ではなく、体験価値を生み出す戦略をどう描くかが鍵になると考えています。
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