メディアで見た勝手な企業診断シリーズです。
パッケージは「コスト」ではなく「販売を支えるツール」。
そう信じて挑戦を続ける食品包装資材メーカー「吉村」。
経営理念を社員と共有し、一体感ある経営を実現しながら、静岡発のパッケージ戦略で付加価値を生み出しています。
診断士としてこの事例を見て、顧客に近い発想がいかに経営を強くするかを改めて感じました。
🔸経営者の信念「パッケージはコストではない」
吉村は1932年創業、社員数242人の食品包装資材メーカー。
お茶どころ静岡に拠点を構え、日本茶用のパッケージやボトル容器を手がけています。
社長は「パッケージは単なるコストではなく、売上を作るツールだ」という信念を持ち続けてきました。
ただし順風満帆ではありません。
かつては「経営者失格だ」と批判され、「組織を分かっていない」とまで言われたそうです。
そこから働き方改革に取り組み、経営計画書を整備し、経営理念・ビジョン・部門目標・個人目標を会社全体で共有する仕組みを作り上げました。
現在は計上利益の4分の1を社員に還元する制度も導入し、社員が経営を「自分ごと化」できる組織になっています。
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🔸強みは「一貫生産体制×地域ブランド」
吉村の最大の強みは、デザイン→印刷→加工→出荷まで一貫して対応できる工場を保有していること。
お茶の本場・静岡で、8000社もの取引先(うち7000社はお茶関連)を抱えています。
この一貫体制を生かし、顧客ごとのストーリーやターゲットに合わせたパッケージを提案できる点は、他社にない大きな優位性です。
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🔸 診断士視点①:ブランドをどう伸ばすか
私が特に注目したいのは、「パッケージを使って顧客と消費者をつなぐ発想」です。
診断士として考えると、今後の方向性は次の3つに広げられると思います。
① ストーリーマーケティングの強化
• SNS・Webで社員発信型のストーリーを展開
• 「お茶文化×パッケージ開発秘話」など、背景を伝える
• QRコードで生産者情報やブランドストーリーを見せる
② コラボレーション戦略
• 現在はビールメーカーとのコラボがあるようですが、さらに広げる余地があります
• お菓子メーカーとのタイアップ:季節限定パッケージ
• カフェブランドとのコラボ:日本茶の香りを活かしたデザイン
• ギフト市場向け:パッケージを“贈る体験”に変える
③ 周辺商品の開発
• 日本茶の雰囲気を活かしたバッグ・小物入れ・インテリア雑貨
• 茶葉や茶器とのセット商品として提案
• 高価格帯ギフト需要を取り込む可能性がある
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🔸診断士視点②:少量多品種対応の課題
一方で、コラボやオリジナルパッケージを拡大するには、生産体制の柔軟性が重要です。
• 生産ラインの切り替え効率
• 在庫リスク最小化
• 短納期対応力
ここをどう整備するかが、吉村の今後の成長を左右すると考えています。
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吉村の事例から学べるのは、パッケージを「コスト」ではなく「ブランド体験の一部」として捉える視点です。
お茶文化を背景にした地域性と一貫生産体制を活かし、ストーリーある商品開発を進めれば、さらに差別化できるはずです。
診断士としても、こうした「顧客体験をデザインするパッケージ戦略」は他業種でも応用可能だと感じました。
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