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テレビで見た革新的な企業の紹介(勝手な企業診断)です。ユーテックは、大型機械部品を製造する創業1942年の老舗企業です。
一時は公共事業向けの部品で売上を伸ばしていましたが、国の公共事業削減の影響で売上は3分の1にまで激減。経営者は苦渋の決断としてリストラを実施しなければならず、「この会社で骨を埋めるつもりだったのに残念だ」という退職者の言葉が胸に突き刺さったそうです。
そこからの再建プロセスが面白いと感じました。中小機構のサポートを受け、経営者は「全員参加経営」に舵を切ります。社員一人ひとりに改善報告書を書いてもらう仕組みを導入したところ、今では年間750枚にものぼる報告が提出されるように。
全員で考え、全員で動く。
これが、ユーテックが復活した最大の要因かなと感じてます。
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🔸強みは「高精度×安全性」
ユーテックの製品は、医療機器メーカーや半導体メーカーにも納品されています。
特に難易度の高い溶接技術と安全性を求められる部品製造は、他社にはない強み。これが高品質なものづくりを支えており、「小ロットでも柔軟に対応できる高品質」というブランドを築いていると感じました。
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🔸IT化で生産現場を変革
ただ、順風満帆に見えたユーテックにも新たな壁が立ちはだかりました。
受注量の増加に伴い、若手社員の離職が増えたのです。
原因は明確でした:
1. 作業計画の全体像が現場に共有されていない
2. 材料が作業開始直前まで入荷しないことがあり、それにより残業増加。。。離職
これに対してユーテックは生産管理システムを導入。現場の社員がスマホで進捗を入力し、全員がリアルタイムで作業状況を把握できるようにしました。さらに、必要な材料が必要な時に届いているかも可視化。
その結果、突発的な計画変更にも柔軟に対応できるようになり、残業時間も削減されたそうです。
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🔸SNSで若手採用にも挑戦
ユーテックはSNSを活用し、若い世代に向けて技術力をアピールする活動も展開しています。
ものづくり現場の魅力を可視化し、「ここで働いてみたい」と思ってもらえる仕掛けをつくっている点も特徴的でした。
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🔸診断士としてのわたしの見解
ユーテックの面白さは、「全員参加経営」の文化が既に根付いている点です。ここをさらに活かすなら、DX活動チームの立ち上げはよいかもしれません。
具体的には:
• 生産管理システムを軸に、在庫管理や品質管理へIoT・画像認識を展開
• AIを活用した不良品検知や需要予測
• 「自社製品」の開発プロジェクトを立ち上げ、社員が主体的に技術力を磨く仕組みづくり
この方向で進めば、ユーテックは「下請け」から「提案型メーカー」への進化も視野に入るのではと考えました
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ユーテックは、リストラからV字回復を果たした企業です。
その原動力は、トップダウンではなく全員参加で経営課題に挑んだこと。そして今後は、IT化をさらに推進し、IoTやAIを活用した新しいものづくりへのシフトがカギになるでしょう。
社長が、「システムを入れれば即効性があり、すぐに成果が出るものではない」とコメントされてました。ITベンダーの立場から見ると、まさにその通りだと思います。このような考えを持たれているトップのシステム導入はかなり効果的に進むものです。
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