和食レストラン「丘里」。1971年創業、122人の従業員を抱える老舗です。
今回の事例を知って、“経営者としての覚悟”と“おもてなしの力”について考えさせられました。
🔸壁に穴が開いたあの日、経営者は何を学んだのか
かつての「丘里」では、スタッフ同士の衝突が絶えず、
ある日には 癇癪を起こしたスタッフが壁に穴を開けるという事件まで起きました。
原因は経営者の「価値観の押し付け」にあったといいます。
ここで経営者は一歩立ち止まり、“スタッフ一人ひとりの目標を聞く”というシンプルな改革から始めたそうです。
私も過去のプロジェクトで、メンバーが疲弊して辞めていく現場を見たことがあります。そのときも同じで、「相手の話を聞くこと、コミュニケーションを取ること、自分の価値観を押し付けないこと」が一番の解決策だったように思います。
丘里の経営者もきっと、同じ壁にぶつかっていたんだろうなと感じました。
🔸食中毒という最大の危機
職場の雰囲気が良くなってきた矢先、2度の食中毒事件が発生。
お客様からは「いい気になってんじゃないの」と厳しい言葉も…。
でも驚いたのはここからです。
常連のお客様からは、**「また来るから頑張ってね」**と励ましの声もあったそうです。
ここで私が感じたのは、お客様との信頼関係は“平時”ではなく“有事”にこそ試されるということと、やはり商売は人と人の関係であること。
診断士として企業を見ていても、この「ファン顧客」の存在がどれだけ重要かを実感します。
🔸女将が考える「接客は舞台」
「丘里」にはもう一つの強みがあります。
女将は、接客を「舞台」と捉え、演出家のようにおもてなしを組み立てているのです。
• 営業開始前に並んだお客様を室内に招き入れる
• 状況に応じた臨機応変な対応
• 一人ひとりに合わせた、きめ細かなサービス
この発想に私はハッとさせられました。
「接客=オペレーション」ではなく、お客様が体験する時間をデザインすることが大切なんだと。
🔸私がこの事例から学んだ3つのこと
1. 経営課題の多くは“人”から始まる
スタッフが辞めるとき、まず疑うべきはシステムや仕組みではなく「関係性」。
2. お客様との信頼は有事に試される
食中毒のときに支えてくれるファン顧客は、日常の積み重ねでしか生まれない。
3. おもてなしは“演出”である
接客を舞台と考える発想は、飲食業に限らずあらゆる業界で応用できる。
🔸まとめ
「丘里」の経営改革は、失敗やトラブルを乗り越えながら成長してきた物語です。
診断士として事例を見ていると、人との関係性をどう築くかが経営を決めると改めて感じます。
もしあなたが経営者なら、
• スタッフとの対話
• お客様との信頼
• 体験価値の演出
この3つを、今一度見直してみてはいかがでしょうか。
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