靴下工場 1927年創業/従業員13人
創喜は、靴下生産量日本一を誇る地域で90年以上の歴史を持つ老舗工場。
しかし、靴下業界は価格競争が激化し、差別化が難しい時代に入っていました。
そんな中、経営者は「高くても本当に良い靴下を世の中に届けたい」と自社ブランドを立ち上げます。
それが『SOUKISOX(ソウキソックス)』です。
発売当初はなかなか売れず、
「良いものを作っても、知ってもらえなければ意味がない」と痛感。
そこから「どう伝えるか」に挑戦が始まりました。
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🔸強み:空気を編み込む昔ながらの技術
創喜の靴下は、太い糸で空気を含ませながら編み込む独自の製法が特徴。
この技術により「さらっと、ふわっと」した履き心地が生まれます。
まるで“足を包み込む空気”を履いているような感覚。
機械化が進む中でも、人の手でしか出せないやさしさを追求してきました。
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🔸伝える:体験を通じて価値を届ける
創喜がすごいのは、「伝える」ための工夫です。
たとえば──
• 自転車で靴下を編む体験イベントを開催
• SNSで発信し、口コミでバズる
• 自分の靴下を作ってくれる社員をウェブで指名注文できる
この「消費者が能動的に関われるブランド体験」が共感を呼びました。
単なる靴下ではなく、「自分だけの1足を作る楽しさ」が価値になっているのです。
さらに、ロゴやパッケージも世界観で統一。
“ブランドの美学”が体験を通じて伝わる設計になっています。
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🔸診断士としてのコメント
創喜は「伝える」「ファンを作る」点ではすでに成功しています。
次の一手としては、“絞る戦略”が鍵になるでしょう。
具体的には、
• 医療・介護向けの着圧ソックスやリハビリ用製品
• 通気性を活かしたスポーツインナー
• 肌に優しいベビー・ヘルスケア用品
• 家でリラックスできるルームウェア・リカバリー靴下
こうした用途別のシリーズ展開は、価格競争から抜け出す有効な手段になります。
また、将来的にはIoTを活用した“スマートソックス”も可能性はありますが、
競合が多い分、創喜ならではの「履き心地×健康」という原点から差別化すべきでしょう。
創喜の靴下は、単なるファッションではなく、
「心と体を癒すウェルネスアイテム」として進化できるポテンシャルを感じます。


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