メディアで見た企業紹介です。三重県に本社を置く老舗メーカー「三重科学工業」は、保冷剤と手袋の製造で知られています。
一見すると成熟した市場に見えますが、社外人材の積極的な活用とコミュニケーションスペース「ミエラボ」を核に、新しい価値を生み出しています。
診断士としてこの事例を見たとき、「製造業の未来型経営」として学ぶ点が多いと感じました。
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🔸保冷剤で国内トップシェアを誇る老舗メーカー
三重科学工業は1956年創業、社員数60人の老舗メーカーです。
弁当・スイーツ向けなどの食品分野だけでなく、医療分野にも進出し、保冷剤では国内トップシェアを誇ります。
さらに、海外展開の下地作りも進めており、今後の成長が期待される企業です。
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🔸 ”ふるさと兼業”で人材課題を打破
近年は天候要因による需要変動や、人手不足といった課題を抱えていました。
そこで導入したのが「ふるさと兼業」という制度です。
これは、社外人材を週数時間単位で業務に参画させる仕組みで、
• 新たな発想を社内に取り入れる
• 社員への刺激を生む
• 製品開発のスピードを高める
といった効果を発揮しています。
診断士として特に面白いと感じたのは、「兼業人材の意見を製品開発に組み込む仕組みを構築している点」です。中小製造業が抱える人材課題の解決策として、非常に示唆的です。
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🔸ミエラボで生まれるオープンイノベーション
同社の大きな特徴が、社内外の人材が自由に交流できるコミュニケーションスペース「ミエラボ」です。
ここでは、
• 社外人材
• 既存社員
• 地域の学生
• 取引先企業
がフラットに意見交換し、アイデアを形にしているそうです。
製造業の現場は“閉じた世界”になりがちですが、こうしたオープンな仕組みがあることで、
「社内で気づかなかった顧客視点」や「市場トレンド」を素早くキャッチできるのは大きな強みです。
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🔸診断士としてアドバイス(すでに実施済みかもしれませんが)
① 消費者との双方向コミュニケーション
• ネット経由で消費者の声を収集(今は消費者からのダイレクトな情報収集ができてないと仮定)
• ミエラボ内で社員・社外人材・顧客を交えたディスカッションを実施
• 顧客起点で製品改善を進める「共創モデル」の確立
② 環境配慮型製品の開発
• 生分解性素材を使った保冷剤
• 繰り返し使用可能なサステナブル製品
• 環境配慮をデータで“見える化”し、付加価値を高める
③ 海外展開の加速(これはすでに実施されているそうです)
• アジア圏への食品輸出増加に合わせ、保冷剤のグローバル仕様を展開
• 医療分野のグローバルパートナーとの共同開発
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三重科学工業の事例から学べるのは、
「閉じた製造業」から「共創型製造業」への転換です。
ふるさと兼業で新しい視点を取り入れ、ミエラボを活用して社内外の知見を掛け合わせる。
この動きは、中小製造業にとって新たな成長モデルになると感じました。


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